ユリイカ 2016年4月号 特集=デヴィッド・ボウイ
文芸雑誌ユリイカの、デヴィッド・ボウイ特集号を読んだ。昨年1月のボウイの死を受けて特集され、3月に発売された号だが、発売とほぼ同時に買っていながらだらだらと斜め読みするにとどまり、結局読み終えるのにまる1年かかってしまった。
冒頭が山本寛斎と高橋靖子の対談という、まさにうってつけの構成だ。寛斎はファッションデザイナーとして、高橋はスタイリストとして、実際にボウイと仕事をしている間柄だからだ。ボウイを間近で見た日本人の代表として、いろいろエピソードを披露してくれた。
先にボウイと仕事をしたのは、高橋の方だった。ボウイが寛斎の衣装を着てニューヨークでショウをすることになり、高橋は国際電話で寛斎を呼び寄せた。時差があるので日本は夜中だったが、何度もかけてきたので寛斎もただごとではないと思い、ニューヨークまで飛んだとのこと。高橋はミック・ロンソンから寛斎を紹介しろと言われたが、断り続けたとのこと。被ってしまうのをボウイが嫌がっていたからだという。グラミーでのレディ・ガガのボウイ追悼パフォーマンスの衣装は、寛斎は手がけておらず、指示出しをしてガガサイドが制作したとのことだ。
イギー・ポップやミック・ロック、リンゼイ・ケンプといった、ボウイとつながりの深い人物のコメント訳、吉川晃司や土屋正巳などの日本のミュージシャンのコメントもあった。湯川れい子による、ボウイ来日パンフの寄稿について、すべて英訳されボウイ本人がチェックした末で湯川の内容にNGが出されて取り消されたというエピソードは、結構衝撃的だった。湯川にしてみれば汚点のはずなのに、それを自ら言ってしまうのもある意味すごいと思った。
漫画家上條淳士のインタビューも面白かった。上條は、恐らくボウイの死に最も早く反応した日本の漫画家で、アルバム『Low』のボウイの横顔に自らの解釈を加えたイラストを、ツイッターに投稿したそうだ。少年期からボウイに魅せられていたことを認め、漫画家としての自らの立ち位置もあって、ボウイの顔の美しさがたまらないと語っていた。
1年前の本だが、読みごたえがあった。もっと早く読めばよかった。。。
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