ティーンエイジ・ファンクラブ(Teenage Fanclub)@EX-Theater
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:
Teenage Fanclub フジロック
チケットは、この日も翌日の大阪公演もソールドアウトとなっていた。約7年ぶりの来日という飢餓感があったとはいえ、日本でのTFCもといギターポップバンドの人気が根強いことを、この日改めて実感した。そして、バンドはその期待に応えるライヴをしてくれた。
定刻を5分ほど過ぎたところで客電が落ち、メンバーが登場。場内から、日本語や英語で歓声が飛ぶ中でスタート。ステージセットはかなりシンプルで、アンプの数も最小限にとどまっている。中央にノーマン・ブレイク、向かって右にベースのジェラード、左にはギターのレイモンド。この3人でフロントラインを形成している。後方右にはドラムのフランシス・マクドナルド、左には(恐らくサポートの)キーボードが陣取るという配置だ。
セットリストはキャリア横断的で、往年の名曲はイントロが鳴った瞬間に場内がどよめく。個人的には、『It's All in My Mind』を演ってくれたのが嬉しかった。バンドは昨年新譜『Here』をリリースしていて、そこからの曲を演るときノーマンは必ず「from New Album…」と紹介していた。キャリアを重ね、アルバムの数も重ね、もちろんバンドは成長し進化している。のだが、音楽の軸は『Bandwagonesque』で確立して以降一貫している。聴く側にとっては、それは安心感になっている。
MCはノーマンがこなし、曲間に「サンキュー、アリガトウ」と何度も言ってくれる。なので、ついついノーマンにばかり注目してしまいがちだが、TFCは決してこの人のワンマンバンドではない。それどころか、フロントラインの3人がいずれも曲を書きリードヴォーカルをこなせるという、奇跡的なバンドなのだ。・・・ということに注目しつつ観たのだが、ジェラードがリードヴォーカルのときはノーマンがコーラスで、ノーマンがリードのときはジェラードがコーラスに入ることが多かった。つまり、レイモンドのときはこの人の独壇場に。
では、ギタリストとしてノーマンとレイモンドの関係はどうか。イントロこそノーマンが担うことが多かったが、おおむねリードギターやソロはレイモンド、リズムギターがノーマンという関係性のようだ。ノーマンは3~4曲毎にギターを交換していたが、レイモンドは終始ジャズマスターを弾き倒していたと思う。また、キーボードの人は曲によってギターもこなし、つまりギタリスト3人体制になることもあった。
楽器交換や水飲みなどで一瞬静寂が訪れることがあるが、フランシスやレイモンドが音出しをして、空気を間延びさせない。ノーマンがギターのチューニングに時間がかかたこともあったが、それがまた見せ場になることもあった。中盤まではいい意味での緩いほのぼのとした空気が漂っていて、このままライヴ進むのかと観ていたが、さすがに終盤にはギアチェンジ。『I'm in Love』~『Sparky's Dream』で場内の熱気が一段あがり、そこにとどめとばかりに『The Concept』。TFCのキャリアを代表する決定的な曲で、個人的にもTFCで最も好きな曲だ。
アンコールは、更にギアが入った。TFCの曲は大半がコンパクトで、ライヴの場においても原曲に沿って演奏されることが多く、それこそ本編はそうだった。しかしココでは、ライヴならではのインプロヴィゼーションが展開される。オーラスの『Everything Flows』は、それこそ延々といつ終わるとも知れない、というより終わってほしくないトリプルギターの競演が繰り広げられた。
Setlist
Start Again
Radio
Hold On
I Don't Want Control of You
Thin Air
Verisimilitude
It's All in My Mind
Don't Look Back
My Uptight Life
I Have Nothing More to Say
Baby Lee
About You
I Need Direction
The Darkest Part of the Night
Your Love Is the Place Where I Come From
Ain't That Enough
I'm in Love
Sparky's Dream
The Concept
Encore:
Easy Come Easy Go
I Was Beautiful When I Was Alive
Star Sign
Everything Flows
TFCは日本のロックフェスティバルに過去3回出演している。2000年、2005年、2009年で、いずれもサマーソニックだ。プロモーターの関連もあるのかもしれないが、1度は、そして今年は、ぜひフジロックフェスティバルに出演してほしい。彼らの佇まいは絶対にあの舞台に映えると思うし、彼らを知らないロックファンにも、音が届く絶好のチャンスになるはずだから。
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