ピクシーズ(Pixies)『Loud Quiet Loud』
ピクシーズのドキュメンタリー映像を観た。2004年の再結成ツアーに密着したものだが、貴重なシーン満載だ。
1992年にバンドが解散してから再結成するまでの間、メンバーが何をしていたのかまでフォローしているのに恐れいる。ブラック・フランシスはフランク・ブラックとしてソロを、キム・ディールはブリーダーズとして、それぞれ活動していたのは知っていた。ドラムのデヴィッドは、なんとマジシャンに!ギターのジョーイは、妻と音楽ユニットとして活動する傍ら、テレビ番組などの映像編集に携わっていた。
映像は、ステージでのライヴと、楽屋で休んだりバスで移動したりする風景を交互に捉え、合間にメンバーのコメントが適時入るという構成に。キムの双子の姉でブリーダーズのメンバーでもあるケリーがツアーに帯同し、ナビゲーター的な役割を担っている。メンバー4人はみな口数が少なく、ケリーはあんたたちのコミュニケーションのひどさは絶望的ねとからかっている。
解散前に出演したときのラジオ番組を全員で聴いたり、バンド結成の地ボストンを訪れたときは友人知人たちと再会したりする場面があり、観ていて胸を熱くさせられる。キムは離婚した元夫と再会しているが、2人はよき友人であり続けている様子だ。
ブラック・フランシスは、本名をチャールズ・マイケル・キットリッジ・トンプソン4世と言い(長い!)、メンバーはみなこの人のことを本名のチャールズで呼んでいた。個人的には、ジョン・ライドンのようにソロ活動時のフランク・ブラックが本名なものと、長年思い込んでいた。キムはチェーンスモーカーもいいとこで、やたらとタバコを吸っていた。このドキュメンタリーを観た後で他の映像を観ると、ステージ上でもキムが結構吸っているのに気づく。
特典映像は、本編に収まらなかった映像や制作の裏側などをフォロー。ショッピングをするキムが店員からピクシーズの人みたいと言われ、しかし店員は目の前の彼女がその人だと気づいていない様子。キムはからかわれてる?と半笑いしていた。音楽はダニエル・ラノワが担当しているのだが、アーティストのドキュメンタリーにどうやって音楽をつけるんだ!?と自虐モードになっているのが笑えた。
デヴィッド・ボウイからは狂ったビートルズという賛辞を受け(ボウイは『Cactus』をカヴァーしている)、カート・コバーンは『Smells Like Teen's Spirit』はピクシーズのパクリだったと言う。決して長くはない活動期間だったにもかかわらず、その音楽性が他のアーティストに与えた影響力の大きさは計り知れない。しかし素顔の彼らは、スーパースター然としているわけでもなく、飾らない姿勢だ。不思議なバンドだ。そして、そこも魅力のひとつだ。
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