ガンズ・アンド・ローゼズ(Guns N’ Roses)@さいたまスーパーアリーナ 2017年1月28日 #GunsNRoses
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最終更新日:2023/10/15
Guns N' Roses ガンズ・ン・ローゼズ, サマソニ, マニックス
現在のガンズのライヴは定刻に始まると聞いていたが、ワタシが行った日に限って34分遅れに(前座のマン・ウィズ・ア・ミッション終了から、ちょうど1時間後)。BGMのデヴィッド・ボウイが止み、スクリーンのCGにリピートされていたガンズのロゴの外枠の文字が、アルファベットからカタカナの日本仕様になる。
バンドメンバーがセッティングし、最後にアクセル・ローズが登場。『It's So Easy』『Mr. Brownstone』の連発でライヴは始まった。メンバー配置は、ステージ後方中央にドラマー、向かって左にキーボードのディジー・リード、右に紅一点キーボードのメリッサ・リーズが陣取る。そして前列は、向かって左から右にギターのリチャード・フォータス、ダフ・マッケイガン、アクセル・ローズ、そしてスラッシュという具合だ。
ステージの両端、および中央からアリーナスタンディングエリアに突き出すように花道が伸びている。そして、前列の4人は常にポジションを変えながら弾き、歌っている。ダフやリチャードはともかく、アクセルとスラッシュは樽のような体型になってしまっているのに(笑)、それでもステージを走り回っていた。
スラッシュやダフが参加していない『Chinese Democracy』からの曲も演奏されるが、やはり軸になるのは2人が在籍していた初期の曲だ。『Welcome To The Jungle』で最初のピークを迎え、『Live And Let Die』『Rocket Queen』『You Could Be Mine』となると、場内の空気は尋常ではなくなってしまう。アクセルとスラッシュが何度も中央花道に並び立ち、この2人が同じフレームにおさまっているのを見るだけで、感慨深い気持ちにさせられる。個人的に、アクセルオンリーのガンズは2回、ヴェルヴェット・リヴォルヴァーは1回観たことがあるが、そのときはリユニオンなど絶対ありえないと思っていたからだ。
アクセルは頻繁に袖に捌ける。ヴォーカリストとして消費するエネルギーを補充するためと思われるが、その間はスラッシュのギターをメインにしたプレイになる。というか、スラッシュすごい。シルクハットにグラサンにもじゃもじゃヘアーに鼻ピアスと、わかりやすすぎる見た目だけで存在感充分なのだが、ギターの冴えがハンパない。レスポールをメインに使うが、曲によりかなりまめに交換していて、そしていずれもが野太い爆音だ。
上腕は丸太のように太く、まるでマッチョな松田優作だが(笑)、今や定番と化したリフを数限りなく繰り出している。そしてもっと驚いたのは、ダックウォークなど仕草が結構お茶目なことだ。表情こそ伺えないものの、この人楽しんでやっているんじゃないかと思ってしまう。今更だが、サマソニ2010にこの人がソロで出演したときのステージをスルーしたことを後悔した。
もうひとりのキーパーソンのダフ・マッケイガンだが、ベースのボディにはプリンスのシンボルマークがあったり、終盤で着ていたシャツにモーターヘッドのレミーがプリントされていたりと、旅立った偉大なる先人へのトリビュートが伺える。中盤はジャケットを着こなし、ジェントルマンの佇まいだ。ワタシの勝手な解釈だが、アクセルやスラッシュは感覚の人で、ダフは知性の人なのではないか。そのダフがリードヴォーカルをとったのが、ダムドのカヴァー『New Rose』だ。
ダフはコーラスもこなしているのだが、同じくコーラスを担うのが、キーボードのメリッサだ。ガンズのツアーメンバー史上初の女性だそうで、ロングヘアーをツインテールで青く染めていて、もしかして初音ミクを意識している?コーラスのときはぴょんぴょん跳ねながら歌っていて、彼女はビジュアル面でも貢献している。もうひとりのキーボードのディジーは、90年から在籍している古株だが、パーカッションもこなしていた。ドラマーは重いビートを刻み、スラッシュやダフらが発するリフをしっかり受け止めている。
『New Rose』に留まらず、意外にカヴァーも多い。スラッシュのソロで、ゴッドファーザーのテーマ(から『Sweet Child O' Mine』へ)。ピンク・フロイドの『Wish You Were Here』では、ステージ後方のひな壇でスラッシュとリチャードが弾き倒す。そのとき、いつのまにか花道にはグランドピアノがセッティングされていて、陣取ったアクセルはなんとエリック・クラプトン『Layla』の後半部のピアノメロディーを弾き、そして『November Rain』となる。更にダメ押しで『Knockin'on Heaven's Door』だ。
本編ラストは『Nightrain』で締め、ほぼ間を開けずにアンコールへ。レッド・ツェッペリン『Babe I'm Gonna Leave You』のイントロを経て、『Don't Cry』だ。このときアクセルが被っていた帽子に猫のフィギュアがいくつかついていて、スクリーンにアップになったときに場内がどっと沸く。そのリアクションに照れるアクセル。思わず出てしまった素の表情を見れたのは、とても貴重だ。この後はザ・フーの『The Seeker』を経て、オーラスはもちろん『Paradise City』だ。
セットリスト
It's So Easy
Mr. Brownstone
Chinese Democracy
Welcome to the Jungle
Double Talkin' Jive
Better
Estranged
Live and Let Die
Rocket Queen
You Could Be Mine
New Rose
This I Love
Civil War
Coma
Speak Softly Love (Love Theme From The Godfather)
Sweet Child O' Mine
Used to Love Her
Out Ta Get Me
Wish You Were Here
November Rain
Knockin' on Heaven's Door
Nightrain
Encore:
Don't Cry
The Seeker
Paradise City
かつてマニック・ストリート・プリーチャーズのジェームスは、リユニオンなどありえないバンドとして、ザ・スミスとガンズを挙げていた。コレは、数年前のインタビューでオアシスは再結成すべきかを聞かれたときに(オアシスはすべきとした上で)答えたものだが、ワタシも同調した。仲違いしたバンドのほとんどがリユニオンするロックの殿堂入り授賞式の場でさえ、ガンズの場合はアクセルが欠席しライヴパフォーマンスは実現しなかった。
しかし、長生きはするものだ(笑)。歳を重ね、体型は変われど、アクセル、スラッシュ、ダフが同じステージに立つさまは、観ていて感動的だった。特に、個人的にはスラッシュのプレイが染みた。バンドを引っ張っていたのはアクセルと思うが、押し上げていたのはスラッシュだった。ほとんど休むことなくギターを弾きまくっていたその姿に、技術だけでなくタフネスぶりに圧倒された。今回のリユニオンを誰よりも喜んでいるのは、この人だったのではないだろうか。
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