ボーン・アイデンティティー(2002年)
銃で撃たれて負傷していた男が、漁船に救助された。男は記憶を失っていて、自分の手に埋め込まれていたマイクロカプセルの情報を頼りに、スイスの銀行に行く。パスポート記載の住所に向かう途中で警察に追われるはめになり、たまたま居合わせた女性マリーに金を払い、彼女のクルマでパリを目指す。
男の名はジェイソン・ボーン。記憶のないボーンは、自分がなぜ追われ、そしてなぜ体が反射的に動いて追手を倒せるのかが、自分でもわからない。そして、ボーンを追うのはCIAで、某国大統領暗殺に失敗したボーンに成り変わって暗殺を遂行した後、ボーンを始末しようとしていた。
ボーン・シリーズの第1作。CIAが絡むスパイアクション映画は数多くあるが、このシリーズの特徴は主人公ボーンがCIAと敵対していることだ。007シリーズやミッション:インポッシブルシリーズほど、ヒーロー然としていないのがいい。工作員として、兵器の使いこなしや肉弾戦の要素は半分で、後の半分はハイテク機器のハッキングに長けている(『攻殻機動隊』の素子を思い出す)。
主人公ボーンを演じるは、マット・デイモン。シリーズ化したことで、この役はこの人にとっての代表作になった。工作員でありながら、記憶を失ってからは極力人を殺すのを避けて、相手を無力化させるように立ち回る。冷徹な殺し屋ではなく、人間味を残し、自分が誰なのかという命題を背負い続けるところが、魅力になっている。
ボーンはマリーと共に姿をくらませ、CIAの「トレッドストーン計画」の実態がはっきりしないまま、計画の責任者アボットは、ボーンの上官にしてボーンの始末に失敗した長官コンクリンを抹殺することで計画を終了させている。
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