Cocco Inspired movies(DVD)
もともとは、完全自主制作でその代わりしがらみのない自由な表現を目指して作られた映像作品として、2010年11月にネット公開された。それが、翌2011年3月の東日本大震災を受け、映像を商品化し売り上げを義援金として寄附することに。主旨もそうだし、映像が盤として世に出るのはいいことだと思った。
内容は、複数の監督による計9本のショートムーヴィー集だ。coccoのPVを手がけた経験のある監督から、なんと制作当時15歳中学生の監督までと、バラエティに富んでいる。『大丈夫であるように』を監督した、是枝裕和の名前もあり、見るとこの人の映像だなとわかる。
どの映像にも共通しているのは、彼女の歌がテーマになっていることだ。故郷沖縄を舞台にした映像もある。『カラハーイ』でCoccoと一緒に踊っているのは、彼女の知人たちだろうか。『Spring around -踊ってみた』は、狭い部屋でくねくね踊る彼女が、なんとも愛らしい。彼女自身が監督した映像もある。
しかし、なんと言っても圧巻なのは6本目の『Cocco 歌のお散歩。』だ。監督は、『鉄男』『野火』などの塚本晋也。他の映像は1曲をテーマにする中、この映像は3曲を使っている。最初は森の中を裸足で歩きながら『Spring around』を歌い、やがて森を抜けてコテージに出ると、今度は『十三夜』に。最後は海辺に行き、『玻璃の花』となっている。
他の映像は商品性の高い単品だが、この映像だけは安易に観るのをはばかられる、どっぷり浸かることを強いられそうな空気感がある。ここでのコラボレーションが、後の『KOTOKO』へとつながっていくのは、想像にかたくない。
2曲入りCDも同梱されている。『絹ずれ』未発表バージョンはCocco監督映像の、完全未発表曲『砂場の海賊』は是枝裕和監督映像の、テーマになっている。
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