Cocco『エメラルド Tour 2010(DVD)』
coccoがアルバム『エメラルド』にリンクしたツアーを行い、2010年11月11日のZepp Tokyo公演がDVD化されている。個人的には、ツアー初日の11月2日のZepp Tokyo公演に行っていて、観ていてそのときのことが脳裏によみがえってきた。
正直、前半彼女は本調子ではなかったと思う。声がかすれまくっていて、後半こそなんとか持ち直したものの、これが映像作品として記録されてしまうのは、本人的には結構キツかったのではないだろうか。
前作『きらきら』は沖縄で合宿状態で作り上げたアルバムだが、『エメラルド』はセルフプロデュースにしてメロディーや歌詞に沖縄色が色濃く、彼女が前作以上に自分の故郷と向き合った作品に思う。ライヴは、シングルカットもされたアルバムの顔『ニライカナイ』ではじまり、過去のベストヒットを織り交ぜつつ、『エメラルド』からの曲を軸にして進む。『三村エレジー』『十三夜』も、沖縄のことばが組み込まれている。
時折沖縄風の踊りを交え、細い体をしならせる。彼女のもともとの夢はバレリーナになることだったが、シンガーとして活動しつつも、踊りを組み込むことによって夢を少しずつ実現しているのではと思う。何より、DVDのジャケット写真が美しく、そして素晴らしい。彼女には白いビジュアルイメージがあるので、ブルーのドレスは新鮮だ。
カメラはもちろん彼女を中心に捉えるのだが、バンドメンバーも結構ピックアップしている。ギター大村、ベース高桑、キーボード堀江、長田進と入れ替わってギターを担う藤田。『きらきら』のツアーでは、共同プロデュースも務めた長田が保護者のような存在だったが、このときは彼女がひとり立ちし、バンドがそれまで以上に彼女をバックアップしているように見えた。
地方では小さな会場になっても、東京だとアリーナクラスにというのは、よくあることだ。前回のツアーは武道館だったし。Zepp Tokyoはライヴハウスとしては大きい方の部類だが、武道館よりは当然狭く、密閉感と臨場感に溢れている。前半をあたたかい目で見守れば、クオリティは確保した映像作品にまとまっていると思う。
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