機動戦士ガンダムUC(ユニコーン) (3)
この作品があまたあるガンダム続編の中で秀でていると思うのは、作品単体としてのクオリティーが高いこともさることながら、続編としての「補完」が見事なことにある。
物語は、西暦から宇宙世紀に切り替わる瞬間と、そこで起こったラプラス事件から始まる。初代首相マーセナスは、テロを装った暗殺により死去。このとき、サイアム・ビストは偶然「ラプラスの箱」を手にし、以降財団を設立して裏社会でのしあがっていく。
それまでは、宇宙世紀であることが大前提になっていた。そして、その大きな理由として、観る側は「人類が増えすぎた人口を宇宙に移民させる」という言い回しを『ファースト』で刷り込まれていた。それが今回、なぜ宇宙世紀にしたのか、そこに人は何を見出だし何を描いていたのかが、鮮明になった。
(ただ、サイアム・ビストの声を永井一郎が担い、『ファースト』のナレーションがサイアムのモノローグだった、としたのは、いくらなんでも後付けが過ぎるかなあと思う)
ジオン・ダイクンが唱えた「人の革新」「人の可能性」は、その後シャアをはじめとする多くのキャラクターが口にしてきたことだが、それはほとんどが戦闘の中でだった。だから、ニュータイプは戦争に利用され、戦争の中でこそその能力を発揮するというイメージから、どうしても抜け出せなかった。
今回、戦闘とは切り離した政治の側からアプローチしたことで、それが払拭された。「ラプラスの箱」の正体もまさにそこにかかるものだったし、それを全世界に公表したのが、メインキャラでありながらモビルスーツには乗らない、言わば「政治家」のミネバだったというのも、うまくできている。
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