スウェード(Suede)『ヘッド・ミュージック/Head Music(コンプリート・エディション・DVD付)』
前作『Coming Up』でピークを迎えたスウェードは、カップリング集『sci-fi lullabies』のリリースを挟み、99年に『Head Music』をリリース。新たな挑戦をした意欲作を、ボーナスディスクとDVDが付与された再発盤にて確認した。
ディスク1は、オリジナルのリマスターと4曲のデモテイクを収録。冒頭の『Electricity』に代表されるように、エレクトロニクスの導入によってバンドが新たな領域に踏み込もうとするさまが伺える。大成功とまでは言わないが、その姿勢は買いたい。しかし、今作はむしろ『Evrything Will Flow』『She's In Fashion』に見られるような、ポップにして普遍性を帯びている曲の方が生きていて、つまりバンドは2つの挑戦を試みていたのだと思う。ディスク2は、ほぼカップリング曲で占められている。突出した曲こそないが、クオリティーは低くはない。
DVDは、PV集、アルバムのメイキング映像、客を入れているスタジオでのライヴ、インタビューという内容。スタジオライヴは99年4月で、8月のアルバムリリースに先駆けて新曲を演奏している。合間合間にブレットやリチャード&サイモンのインタビューが挿入される構成で、パフォーマンスの方は、ライヴハウスのときほどエネルギーを爆発させてはいないが、衝動を内に秘めるようにして歌うスタイルで、これはこれで新鮮だ。
インタビューは、『Coming Up』に引き続きブレット自宅でのブレット、リチャード、ニールによるものブレットはニールの影響が大きいと言い、この人がキーボードで仕上げたデモをベースに曲を作ることが多かったとか。プロデューサーのスティーヴ・オズボーンは、ハッピー・マンデーズなどを手掛けたエレクトロニクス寄りの人で、新鮮味を出すために起用。アルバムがダークになったのは決して狙ったのではなく、前作『Coming Up』が明るくポップだったので、振り子のように反動でそうなったのだろうと自己分析している。
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