ビョーク(Björk)『Biophilia Live』
ビョークのアルバム『Biophilia』のツアーを収録した、ライヴ作品がある。ワタシが持っているのは、CD2枚組+DVDの生産限定盤だ(まだ入手できそう)。いずれも、ツアー最終のロンドン公演を収録したもので、以降はDVDについて書く。
リチャード・アッテンボローのナレーションを経て、ステージにビョークが登場し、『Thunderbolt』でスタート。バンドはドラムとプログラミングで、あとは20人くらいの女性ダンサーだ。シンジング・テスラコイルやガムラステ、パイプオルガンなど、通常のロックアーティストのスタイルとは大きく異なる、ビョークならではの楽器が稼動する。
ビョークは2013年にフジロックフェスティバルのヘッドライナーとして来日。そしてフジのステージをこなした後は日本科学未来館で『バイオフィリア・ライヴ』を敢行した。ワタシも観に行ったが、800人という限られたファンだけが楽しめる、密閉感があり、また極上の空間にもなっていた。
映像のロンドン公演は、アレキサンドラ・パレスというところが会場だ。見たところ、恐らくアリーナクラスのキャパシティと思われる。楕円型の構造でアリーナ席のど真ん中にステージが設置され、360度全方位型になっている。しかし、1万人いるとは思えない、やはり密閉感に満ちたライヴだ。それは、ビョークがファンを自分の懐に引き寄せているのかもしれない。
ステージ上部に設置されたスクリーンからは、銀河や星系などの宇宙的な映像から、人体の内部と思われるミニマムな映像まで、さまざまなビジュアルが繰り広げられている。そしてこのDVDにおいては、映像と熱唱するビョークとをクロスさせ、彼女の世界観をより増幅させようとしている。
曲は当然ながら『Biophilia』からを軸としていて、時折組み込まれる『Hidden Place』『Possibly Maybe』『Isobel』といった、以前の曲には客席からの歓声が湧く。終盤、『Cosmogony』でダンサーたちは捌けていき、ビョークとハープの人だけによる『Solstice』で本編が終了。アンコールは『One Day』で静かに始まるが、続く『Nattura』でエモーショナルになり、『Declare Independence』で最高潮に達した。更に、ツアー最終ということもあってか、ダブルアンコールまで行われた。
ボーナス映像は、その名も『Björk at Miraikan』。日本科学未来館のスタッフや館長の毛利衛の英語インタビュー、ビョークのインタビュー、未来館で行われたワークショップの模様などを収録。大人のように考えず、感覚的にタブレットを操作する子供たちの笑顔が、なんとも印象的だった。単に表現者であるだけでなく、次の世代に何を残せるかという命題にビョークは向き合い、そして実践しているのだと思った。
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