プリンス(Prince)『Rave Un2 The Year 2000』
プリンスが1999年11月にペイズリー・パーク・スタジオで行ったライヴのDVDを観た。タイミングとしては、アルバム『Rave Un2 The Joy Fantastic』リリース直後になるのだが、そのリリースパーティーにとどまらず、いろいろな意味があったようだ。
セットリストは、ほぼグレイテストヒッツだった。新譜からの曲は少なく、ライヴでは珍しい『She's Always In My Hair』、本来ベースレスだがバンドバージョンの『kiss』、定番の『Purple Rain』、『The Cross』の歌詞を変えた『The Christ』、メドレー、と、ギターパフォーマンスや唯一無二のダンスなどと共に、見どころがぎっしりつまっている。
ゲストも豊富だ。レニー・クラヴィッツを迎え、演奏もレニーの曲でプリンスがギターとコーラスにまわったり、ザ・タイムだけの演奏があったり、元スライ&ザ・ファミリー・ストーンのラリー・グラハムによる超絶ベースがあったりと、バラエティに富んでいる。気難しい孤高の人というイメージがついていた時期もあったが、実際はフレンドリーで好かれる人だったのではと思わせてくれる。
ボーナス映像では、バンドメンバーによるインタビューや本編には入らなかったライヴ映像が。ここで、ジョージ・クリントンのパフォーマンスも確認できる。
ラストが『1999』で、ミレニアムを目前に控えて改めてこの曲を演奏するプリンス。このライヴは、いろいろな意味でプリンスにとって節目だった。この時点ではまだ名前は「ジ・アーティスト・フォーマリー・ノウン・アズ・プリンス」で、権利関係の縛りがなくなり、名前をプリンスに戻すのは翌2000年になってからのこと。一方で、エホバの証人に入信するのもこの少し後だ(ラリー・グラハムの影響が大きかったと言われている)。なので、プリンスの活動において非常に重要なターニングポイントとなる時期にあり、その貴重な記録にもなっていたのだと気づかされる。
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