プリンス(Prince)『Sign ‘O’ The Times』
プリンスが監督及び主演している『Sign ‘O' The Times』のDVDを観た。
プリンスは、87年にアルバム『Sign ‘O' The Times』をリリースした。革新性と開放感に満ち溢れ、2枚組というかなりのヴォリュームでありながら、聴いていて中だるみすることもなく、一気に最後まで聴けてしまう親しみやすさも備えている。プリンスのキャリア最高峰に位置する作品として評価も高く、実際ワタシ個人もプリンスのベストワークだと思っており、かつ生涯ベストアルバムの1枚に数えている。
前置きが長くなったが、このDVDはアルバムに伴うヨーロッパツアーの模様をまとめたライヴドキュメンタリーだ。合間にバンドメンバーによるショートストーリーがちりばめられてはいるが、メインはライヴパフォーマンスそのものである。収録曲は全12曲で、『Little Red Corvette』だけが『1999』収録であり、他は全て『Sign Of The Times』からだ。バンドメンバーも興味深く、ドラマーにシーラE、キーボードにドクター・フィンク、サックスにエリック・リーズといった、当時のプリンスファミリーの顔が見られる。そうした中、かなり激しい踊りをするダンサーのキャットが、異様な存在感を放っている。
プリンス自身のパフォーマンスも凄まじい。基本はギターを弾きながら歌うというスタイルだが、曲によってはかなり激しいダンスも交えていて、その軽快な身のこなしぶりは素晴らしいし、それでいて息を切らすこともなく平然と歌ってのけるタフさにも驚嘆させられる。『U Got The Look』ではシーナ・イーストンがゲストとして登場し、プリンスとデュエットしている。
アルバム『Sign ‘O' The Times』の前後、つまり『Parade』や『Lovesexy』のツアーでは来日公演が行われているが、『Sign Of The Times』のときは来日はならなかった。そうした意味でも貴重な映像であり、プリンスの映像作品の中でも絶対に外せないアイテムだと言える。
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