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コントロール(2008年)

コントロール

のフロントマンであり、23歳の若さで自殺したイアン・カーティスの半生を描いた映画『コントロール』だ。日本では2008年に劇場公開され、ワタシも観に行っていた。

イアンはハイスクールのときに友人の恋人だったデビーと互いに惹かれ合い、やがて結婚。職安で働く傍らワルシャワの名でバンド活動も行う。やがてバンド名をジョイ・ディヴィジョンと変え、テレビプロデューサーだったトニー・ウィルソンのレーベル、ファクトリーと契約。ライヴを続けアルバムもリリースし、バンド活動は順調であるかに思われた。

がしかし、イアンは発作を起こして「てんかん」と診断され、ステージ上でも発作を起こすようになる。またツアー中に知り合った女性とも恋仲になり、それが娘を出産した妻デビーに知れてしまう。自身がカリスマ視されることへのプレッシャーもあり、次第にイアンは精神的に追い込まれていく。そしてアメリカツアーのためにバンドが旅立つ日の朝、イアンの最期の姿をデビーが発見した。

イアンの妻デビーが書いた回想録を元にアントン・コービン(等のPV監督)が脚本を書き、監督を務めている。イアンを演じているのが当時ほぼ新人のサム・ライリーだが、その表情はイアンにかなり似ていて、これだけで伝記映画としての精度はかなり上がっている。鬼気迫る演技も観る側を引き込むものがあって、が絶賛するのもうなずける。映像は全編モノクロだが、これも当時のイギリスの世情を反映しているようでいて、正解だと思う。

脚本はのメンバーもチェックしたとのことで、つまり可能な限り事実に近づけた内容であると思われる。バーナード・サムナーは緊張しやすく、ピーター・フックはケンカっぱやく、スティーヴン・モリスは黙して語らずいつもリズムの練習をしているというキャラ設定が、なかなか興味深い。イアンの死を知ってメンバーが悲しむシーンの中に、ジリアン・ギルバートと思われる女性の姿も確認できる。そして「結婚は間違いだった」「もうバンドにいたくない」と自己否定するイアンは、やはり生き急いでいたように見える。

映画を彩る音楽も、内容にかなりリンクしている。ジョイ・ディヴィジョンを筆頭に、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドなどの曲が流れている。最初のバンド名「ワルシャワ」は、ボウイの『Low』に収録されている曲名からの引用だが、その『Walsawa』もちゃんと流れている。イアンの部屋にはボウイやのポスターが貼られており、イアンがデビーとボウイやのライヴを観に行く場面があったり、ジョイ・ディヴィジョンのデビュー時には何かとバズコックスと比較されていたりという、音楽事情も興味深い。

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