100年目に出会う 夏目漱石
横浜の「港の見える丘公園」内にある神奈川近代文学館にて開催されている、夏目漱石の展示を観に行ってきた。今年は、漱石が亡くなってからちょうど100年になるそうだ。
生い立ちから東大卒業、教員時代、ロンドン留学、作家という、漱石の人生をたどるような構成になっていて、その中で重要な人物との出会いや作品も紹介。漱石が49歳で亡くなり、その作家人生は晩年の10年ちょっとというのは知っていたが、幼少時に養子に出され、また戻されたというのは知らなかった。
作品の原稿は、漱石の自筆だ。原稿用紙には、加筆修正が頻繁にされているのがわかった。書画も描いていて、親しい知人にはプレゼントしていたそうだ。今まで漫画やアニメの展示に行ったときは、本物ではなくレプリカが展示されていることが少なくなかったが、ここではそれはなかった(年代物すぎてコピーできないのかも)。
ロンドン留学のときの写真もあって、倫敦塔やタワーブリッジ、大英博物館、ウエストミンスター寺院などが、今と変わっていないことに驚いた。
鏡子夫人とやりとりしていた手紙や、夫人による漱石の人となりを記した文書など、世の中にあまり話題にされてこなかった情報を記した資料も展示。亡くなる直前に本人に気づかれないよう撮影した写真や、デスマスクもあった。
客層は、年配の方が圧倒的に多かった。明治大正の純文学は、今の時代に継承されているのかと不安にもなった。かく言うワタシだが・・・、学生時代に全集を読みはしたが、今やその内容はほとんど覚えてない(汗)。
その一方、『文豪ストレイドッグス』という漫画を原作とするアニメーションがこの4月から放送していて、近代文学館はスタンプラリーの拠点のひとつになっていた。女子中学生がきゃっきゃ言いながら写真を撮っていて、これがきっかけのひとつになっていくのかもしれない。
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