ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)『Smile DVD – Disc1』
ブライアン・ウィルソンが2004年にリリースしたアルバム、『Smile』。作品にリンクした2枚組DVD もリリースされている。Disc1は、ドキュメンタリーおよびボーナス映像。史上最も制作に時間を要したアルバムが、如何にして世に出たかを記している。
1966年、ブライアンはツアーから身を引きスタジオにこもるようになる。盟友ヴァン・ダイク・パークスを呼んで構想を話し、腕の立つミュージシャンを引き連れてレコーディングに励む。しかし、レーベルからはリリースを急かすプレッシャーがあり、他のメンバーからは音楽を理解されず、と、逆風が強くなってくる。ブライアンの精神は病んでいき、ついに制作は断念となる。
この後長い年月が流れるのだが、このドキュメンタリーではほんの一瞬の扱いに(笑)。90年代後半からソロ活動が軌道に乗ったブライアンは、信頼できるバンドを得たこともあって自信を深め、ついに『Smile』制作再開を決意。再びヴァン・ダイク・パークスを呼んだのは、2003年のことだ。
そして2004年2月、アルバムリリースに先駆けてロンドンのロイヤル・フェスティバル・ホールでアルバム全曲再現を敢行。会場にはポール・マッカートニーやロジャー・ダルトリーなどの姿があり、ファンも世界中から集まった(日本人もいた)。演奏は組曲風で次から次へと表現され、場内にはただならぬ緊張感が漂う。ラストの『Good Vibrations』が終わったときに観客は総立ちになり、歓喜の瞬間となった。
ボーナス映像は、このDVDのために収録されたであろう、ブライアンのインタビューやピアノソロの映像。そしてフォトギャラリーなどだ。ヴァン・ダイク・パークスがインタビュアーになってブライアンのコメントを引き出したのは、ロイヤル・フェスティバル・ホールの楽屋だったようだ。
2003~2004年はともかく、1966年のレコーディング時の映像がたくさん記録され残されていたのは驚きだった。20代の若きブライアンが傑作を産み出さんと奮闘する姿は感動的で、それが37年の歳月を経て完成させたのは、更に感動的だ。因みに、ブライアンによると挫折の最大の要因はマイク・ラヴの反対だそうだ。また、『Pet Sounds』よりも『Smile』の方が数段素晴らしいと言っていて、この人の入れ込みようが伺える。
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