ブライアン・ウィルソン(Brian Wilson)『Pet Sounds Live In London DVD』
ブライアン・ウィルソンが2002年に行ったライヴDVDを観た。アルバム『Pet Sounds』を全曲再現するツアーで、1月および6月のロンドンはロイヤル・フェスティバル・ホール公演から編集されている。
ジェフリー・フォスケットとダリアン・サハナジャをはじめとする腕利き揃いのメンバーを従え、ブライアンは鍵盤の前に腰掛けながら歌う(ほとんどの曲で弾いていなかった)。歌唱力はさすがに落ちていて、60年代のみずみずしい歌声まで再現というわけにはいってない。しかし、それでも素晴らしいことに変わりはない。
アルバムは何度も聴いた曲が、ライヴという生の場で再現される。次の展開がどうなるかわかっているのに、場内には異様な緊張感が漂う。その空気を壊すのは、他ならぬブライアンだ。とにかくゴキゲンで、1曲終わる毎にMCを入れる饒舌ぶりだった。
全13曲の再構築を終えた後、アンコールでは『Good Vibrations』を。この曲は『Pet Sounds』の後にシングルカットされてヒットを記録。そして、本来は『Smile』に収録されるはずだったのが頓挫してしまい、残骸を集めたとも言うべき『Smiley Smile』に収録された。『Pet Sounds』と『Smile』の中間に位置し、両アルバムの要素を併せ持つ曲なのかもしれない。
ボーナス映像は、ブライアンや参加したアーティストたちによる、『Pet Sounds』制作の裏側を追ったドキュメンタリー。『Caroline No』はもともと『Carol I Know』という曲名で、ブライアンがキャロルという娘に恋したという曲だったそう。それがどこかで曲名が変わってしまい、でもシャレがきいているのでそのまま使われたのだとか。
ブライアンはこのツアーの成功で自信を深め、いよいよ『Smile』復活に乗り出す。
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