マドンナ（Madonna）『I’m Going To Tell You A Secret』

マドンナのDVD『I'm Going To Tell You A Secret』を観た。内容は、2003年にリリースしたアルバム『American Life』に伴う2004年のツアー「The Re-Invention Tour」を収録したドキュメンタリーだ。

映像は、ツアーに帯同するダンサーのオーディションから始まる。最終審査にはマドンナ本人も加わり、彼女の口から合格が告げられたときに歓喜し感涙する、ダンサーたちの姿に胸が温まる。ツアーはアメリカやヨーロッパの大都市の模様が収められていて、ステージ上でのパフォーマンスはカラーで、その舞台裏の模様はモノクロで映し出される。ライヴ開始前にはバンドとダンサー全員が手をつないで円陣を組み、マドンナが意思を統一することばを語る。

ニューヨーク公演には、マイケル・ムーアが訪れていた。当初はマイケルがこのドキュメンタリーの監督をする話があったそうで、それがスケジュールが合わずに断念。しかしマイケルは、マドンナにいくつか助言をしていたらしく、マドンナはMCで感謝を述べていた。ダブリンではイギー・ポップも同じステージに立っていたが、マドンナとの共演はなし。イギーは共演したかったが、マドンナ側が受けなかったようだ。

オフショットも満載で、（当時の）夫である映画監督のガイ・リッチーや、2人の子供の無邪気な姿もある。ガイは柔術マニアらしく、ヘンゾ・グレイシーとスパーリングするシーンも。そしてツアー終了後、マドンナはイスラエルを訪問。ミュージシャンとしてではなく、平和を願ういち個人として、戦火が途絶えることのない地を訪れたのだった。

ステージでは、表現者でありポップスターであるための徹底した完全主義者ぶりが伺え、お客を満足させてみせるというプライドがにじみ出ている。その反面、2人の子供を前にしては当然ながら母の一面も見せていて、仕事と家庭とを両立させることに苦悩する、「人間」マドンナの姿も現れている。