デヴィッド・ボウイ(David Bowie)『A Reality Tour(DVD)』
デヴィッド・ボウイの最新、そして最後のツアーの公演を収録したライヴDVDを観た。『Reality』に伴うツアーのうち、2003年11月にアイルランドのダブリンで収録されたものだ。輸入盤は2004年にリリースされたが、日本盤化されたのは2007年。なぜ3年ものタイムラグが発生してしまったのか謎だが、輸入盤でもリージョンフリーのため、国内用DVDプレーヤーでも再生可能だ。
カメラはもちろんボウイを中心に捉えているのだが、他のバンドメンバーやその指先、客席なども含めて多角的に映し出している。アングルの移り変わりが目まぐるしすぎたり、時に画面が白黒やセピア色になったりしている。こうした効果はもちろん狙ってやっていることなのだろうが、観ていて少し気疲れもする。
会場は、恐らく2万人くらいの規模のアリーナクラス。出だしから客のノリが尋常ではなく、オープニングの『Rebel Rebel』はもとより、『All The Young Dudes』や『Life On Mars』でも大合唱になるという状態。悔しいが、日本では絶対にこんな状態にはならないし、熱狂度の高さとしてはダブリンの方が上だと認めざるをえない(だから収録地として選ばれたのかな)。
選曲は2004年3月の日本公演のときと大枠は同じだが、一部レアな曲も演奏されている。中でも、84年作『Tonight』からの『Loving The Alien』が披露されているのにはびっくりで、かつこれはとても貴重だ。ボウイの80年代の作品は、そのほかの年代に比べて質が低い。なのだが、ライヴの場でそれとなく再構築してみせるボウイの姿勢は素晴らしいし、かつ心憎い。
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