ハンガー(1983年)
何世紀も生き続けている吸血鬼ミリアム。その時代時代でパートナーと生活を共にし、日ごと若い男女を選んでは、その首筋にナイフを立てて溢れる血を吸っていた。20世紀のアメリカでのパートナーはジョンという青年だったが、あるときジョンに老化の兆候が見え始める。ジョンは老化の研究をしている女医サラを訪ねるがサラは相手にせず、やがてジョンは帰らぬ人に。サラはミリアムを訪ねるが、ミリアムはサラによって吸血鬼にさせられてしまう。
ミリアムをカトリーヌ・ドヌーブ、ジョンをデヴィッド・ボウイ、サラをスーザン・サランドン、というのが主なキャスト。ウィレム・デフォーもほんのわずかだが出演している。監督はなんとトニー・スコットで、これが長編映画デビューだとか。この後『トップガン』『ビバリーヒルズ・コップ2』などで大ヒットを飛ばす監督だが、ここでの作風は官能的とも耽美的とも言え、以降の作品に見られるようなエンターテイメント性が皆無であり、意外だ(おまけに、クライマックスはホラーチックだ)。
ある意味配役やストーリー以上に注目なのが、冒頭のシーンである。ミリアンとジョンが若者を求めてクラブを訪れるのだが、そこで演奏するバンドという設定でバウハウスが出演している。曲は『Bela Lugosi's Dead』で、まさに作品のテーマにもマッチしている。先ほどは意外と書いてしまったが、映像と音楽とをシンクロさせる技量は、まさにトニー・スコットならではと言えるかもしれない。
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