ポール・ウェラー(Paul Weller)『Find the Torch Burn the Plans(DVD+CD)』
ポール・ウェラーが2010年5月27日にロンドンのロイヤル・アルバート・ホール(RAH)で行った公演を収録した、DVD+CDというパッケージを入手した。輸入盤のみの流通で、かつ現在は廃盤の様子だ。
ライヴは約2時間で27曲と、結構ヴォリュームがある。バンドはギター2人、ベース、ドラム、キーボードという、近年変わらないメンバーによる編成だ。個人的に今まで観てきたウェラーはキーボード弾き語りの比率が決して低くはなかったが、ここでは、ほぼギターもしくはヴォーカルオンリーによるパフォーマンスが大半だ。
時期的には『Wake Up The Nation』のツアーにあたる(このツアーでの来日は残念ながら実現しなかった)。2008年の『22 Dreams』以降、この人の創作意欲は質量共にそれまで以上に拡大され、そしてペースは加速している。ジャム以来一貫している骨太のロックはもちろん中心軸にあるが、それだけにとらわれず、テクノサウンドを導入するなど、音楽の幅を広げている。中盤では、女性8人のストリングスがフィーチャーされる。RAHには、合っている。ストリングスとの共演は、ロックアーティストにとって実現したいことのひとつではないかと思ってしまう。
更には、終盤でステレオフォニックスのケリー・ジョーンズがゲスト参加だ。しかも曲は、『The Eton Rifles』『That's Entertainment』のジャムナンバー2連発。実は、ジャムナンバーは計6曲も演奏されている。スタイル・カウンシルからも『Shout to the Top!』がセレクトされていて、反則にも程がある(笑)。
ドキュメンタリーは、字幕がないのが辛いが、ロンドンの街並みを捉えつつ、ウェラー本人はもとより、モッズファンと思しき若者たちらのインタビューを取っている。その合間に、バンド演奏が数曲挿入されているという構成だ。監督はジュリアン・テンプルで、映像としてのクオリティーはかなり高いと感じる。
CDの方は全18曲で、RAH公演のダイジェストにBBCでのライヴ音源を追加している。DVDを観てしまうと物量的に物足りない気がして、本作はDVDありきでCDはボーナスという位置付けなのだと思う。
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