ジェフ・ベック(Jeff Beck)『Live In Tokyo 2014』
2014年4月の来日のうち、9日のTokyo Dome City Hall公演がDVD化された。この日は、ワタシも会場に足を運んでいた。
冒頭に会場の外観や客が入場しグッズを買うシーンが流れ、ジェフのコメントがちょっとだけ入る。そして、ライヴ本編に。ジェフを除くバンドメンバー3人だけでの演奏に始まり、やがてジェフが登場し加わるというオープニングだ。
最初の曲『Loaded』だけジェフはテレキャスターを弾いていたが、続いてストラトキャスターに持ち替える。ジェフは薄いブルーのパンツに黒のベスト姿で、右手首に銀ラメのブレスレットをつけていた。ステージ上を結構頻繁に歩きながら弾くジェフだが、その指先の動きはかなり繊細。フィンガーピッキングをどアップで堪能できるのは、DVDならではだ。
このときのメンバーは、ドラムにジョナサン・ジョセフ、ギターにニコラス・マイヤー、ベースにロンダ・スミスという3人。ロンダは2010年来日時にも帯同している。バンドにギタリストが入るのがこの人の場合珍しいのだが、ニコラスはほぼ1曲毎にギターを持ち替え、ジェフとはかぶらず、ジェフを邪魔せず、そしてジェフを引き立てていた。
前半は新曲を中心に攻め立て、この人が未だ現在進行形であることが垣間見れた。もちろん、近年のライヴで定番になっている曲、キャリアを代表するマストナンバーもあり、と、まあとにかくすごい人だと何度も思わされる。それでいて、常に緊張感が漂うばかりでもなく、ジェフは結構茶目っ気出している。
本編を『A Day In The Life』で締め括ると、アンコールはアゲアゲの『Rollin' And Tumblin'』にはじまり、必殺の『Cause We've Ended As Lovers』ときて、これでおしまいかと思いきや、オーラスがなんと新曲『Why Give It Away』だった。
DVDならではのボーナス映像も貴重だ。楽屋でインタビューに応えるジェフ。後方に「おいしい牛乳」のパックが見える(笑)。バンドメンバー3人のインタビューもあって、ニコラスとジョナサンは陽気な人柄が溢れんばかり。ジョナサンはジョス・ストーンのバンドにいたが、なんとジョスの母親と結婚してしまい、バンドをクビになったのではとジェフが言っていた(笑)。合間に流れる演奏シーンは、衣装から見てリハーサル時のものだ。
ロンダは、ステージでは終始サングラス姿で表情がなかなか伺えなかった。クールで性格キツめの人ではないかと勝手に思っていたのだが、インタビューではサングラスをとっていて、明るい表情で話していた。くりっとした目つきが、印象的だった。インタビューとは別に日本盤のみのボーナス映像があって、駅のホームや新幹線からの車窓など、来日時の移動の光景が収められている。
その活動の長さに比して、映像作品があまりにも少ないジェフ・ベック。今回が3作目だが、『ロニー・スコッツ』は200人のライヴハウスに業界人や関係者も顔を揃えるプレミアム感が強く、『レス・ポール・トリビュート』は言わば企画ものだった。つまり、今回こそがジェフが普段おこなっているライヴを記録した作品と言え、その会場に東京が選ばれたことを光栄に思っている。
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