ターミネーター4(2009)
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最終更新日:2022/03/16
ターミネーター クリスチャン・ベール, サム・ワーシントン, ディストピア
2018年。「審判の日」を経て、覚醒したコンピューターのスカイネットと人類の抵抗軍との戦いが続く。抵抗軍の指導者のひとりジョン・コナーは、母の残したことばを聞きながら自分の父となるカイル・リースを探し、そのカイルは謎の男マーカス・ライトと知り合う。
マーカスはスカイネットの基地がある北を目指そうとし、カイルはジョンとのコンタクトを目指す。しかしカイルはスカイネットに捕虜として捕らえられ、マーカスはジョンと遭遇するが、マーカスの体内は機械で埋め尽くされていた。ジョンはマーカスをターミネーターとみなして解体しようとするが、マーカスは自分が人間だと言い張る。
いろいろな意味での感動があった。これまでのシリーズで断片的に描かれてきたことの多くが、ここに結集されている。
『1』でサラ・コナーを救うためにジョンから送られるカイルと、ジョンとの出会い。ジョンの方が年長でカイルは10代という設定になっているが、カイルはジョンの父になる。中盤までのターミネーターは、金属スカルがむき出しになった、言わば旧タイプだ。それが、クライマックスでジョン+マーカスと対決するのが、人間型であるT-800のプロトタイプだ。
細かいところでの感動もある。記憶のないマーカスが、カーステから流れる曲を聴いて兄貴がよく聴いていた曲だと言っていたのは、アリス・イン・チェインズだ。また、ジョンがモト・ターミネーターをおびき寄せるために流した曲は、ガンズ・ン・ローゼズの『You Could Be Mine』で、コレは『2』の主題歌でもあった。
ジョンがそのモト・ターミネーターをいじって自ら乗りこなすくだりがあるが、『2』でグレていた少年ジョンがATMを操作して金を引き出すところとダブる。ジョンが機械に強く手先が器用という伏線が、既にはられていたのだ。
シリーズ作だけでなく、過去の名作へのオマージュではないかと思える描かれ方、設定も伺える。核戦争後の荒涼とした世界は『マッドマックス2』を思わせ、中盤でジョンがマーカスを追い詰めようと森を爆破するシーンは、『地獄の黙示録』を思わせる。ターミネーターでありながら自分を人間と言い、悲しい運命を背負わされているにもかかわらず人間らしくあろうとするマーカスは、『ブレードランナー』のレプリカントに通ずるものがある。
キャストは、ジョンにクリスチャン・ベール、マーカスにサム・ワーシントン、カイルはアントン・イェルチン(『スター・トレック』でのロシア人クルー役)、というのが主な配役。T-800は、肉体は別の人だが、頭部はCG加工によりアーノルド・シュワルツネッガーになっている。
個人的には、『2』をしのぐシリーズ最高作と思っているのだが、世の中ではさほど高い評価でもなく、また商業的にもぱっとしなかった。これは、『ターミネーター』シリーズが誰の物語なのかという、観る側の解釈によると思う。そして恐らく、このシリーズをターミネーター(というかシュワルツネッガー)の物語と思っている人には、今作は物足りないだろう。
ワタシは、このシリーズはジョン・コナーの物語だと思っていて、今作でついにそれが結実したことに感動している。未来の人類の指導者ジョンが、『1』は生誕前、『2』では少年、『3』では青年で『審判の日』を経験。そして今作は、部隊を任された中堅リーダーとなっている。劇中の展開もそうだが、制作が頓挫することもなく、よくぞこぎつけてくれたという喜びを噛み締めている。
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