狼たちの午後(1975)
ニューヨーク。小さな銀行に3人組が強盗に入るが、ひとりは怖じ気づいて逃げ出してしまう。銀行には預金が1100ドルしかなく、といった具合で、要領を得ないうちに警官隊が外を取り囲んでしまう。2人の強盗、ソニーとサルは、行員を人質に取って籠城する。
人質を盾に警官と交渉するソニー。その様子はテレビにも中継され、警官隊の向こうには野次馬が集まっている。人質に危害を加えることもなく、アッティカ刑務所暴動に言及して権力者の横暴を批判するソニーは、いつしか英雄視されるようになる。
実際に起こった銀行強盗事件をモチーフに、映画化している。人質と強盗との間には、いつしか奇妙な連帯感が生まれる(ストックホルムシンドロームというそうだ)。ソニーには妻子があるものの実はゲイで、パートナーも登場する。強盗や銃撃といった犯罪行為が主体ではなく、社会的弱者への差別や体制への批判などの要素が見られ、アメリカンニューシネマ的な側面もあるように思う。
ソニーをアル・パチーノ、サルをジョン・カザールという人が演じている。この作品の公開は『ゴッドファーザーPART2』の翌年で、2人は主人公マイケルと気の弱い兄役で出演している。ソニーのパートナーであるレオンは、クリス・サランドンという人。サランドンと聞いてもしやと思い調べると、スーザン・サランドンの最初の夫だそうだ。FBI捜査官のひとりには、ランス・ヘンリクセンがいる。『エイリアン2』でアンドロイドのビショップ役だった人だ。
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