記憶探偵と鍵のかかった少女(ネタバレあり)
相手の記憶に入り込める特殊な能力を持つ「記憶探偵」。そのひとりジョンは、妻の自殺により引退状態だったが、生活費に困窮して復帰し、絶食している少女アナに食事を摂らせるという依頼を受ける。
IQが高く頭のいいアナは、それまで学校で事件を起こしては転校を繰り返していた。自室に籠りきりのアナは24時間監視されていて、継父はアナを施設に入れようと考えていた。彼女の記憶に入り込んだジョンは、さまざまな衝撃を受けると共に、アナが記憶を改竄しているという疑いも持つ。
記憶探偵は、作品の世界観においては立派な職業として成立している。原題は「Mindscape」だが、これはジョンをはじめ記憶探偵たちが所属している企業で、記憶探偵の証言は証拠能力としてはDNAには劣るが、嘘発見器よりは勝るという位置付けになり、事件の解決に貢献している。
依頼者の記憶に入り込むというアプローチは、夢の中に入り込む『インセプション』に似通ったものがある。ジョンの妻は現実と記憶の世界とを行き来するうちに区別がつかなくなって自殺していて、この設定などまさに同じだ。
予定調和に終わらなかったこと(アナとそりが合わない継父が一見怪しいようでいて、実はアナの方が怪しいのではと思いながら見ていた)、いい意味で裏切られたことは歓迎するが、ああいうところに着地するとは正直読めず、悔しい(笑)気持ちが残った。
ジョンはマーク・ストロング(『シャーロック・ホームズ』のブラックウッド、『キックアス』のダミーコ)、ジョンの上司セバスチャンはブライアン・コックス(『RED』のイヴァン)。しかし、最も注目すべきはアナを演じたタイッサ・ファーミガという娘。大人を向こうにまわしても全くひるむことがなく、むしろのんでいるくらい。アナを主人公とした続編を作ったら、面白いのになあ。
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