桐島、部活やめるってよ(2012)
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最終更新日:2021/02/13
邦画
その年の日本映画賞を総ナメにし、しかもそれが大作でもド派手でもない学園モノときた。さて、いかほどの傑作なのか・・・。と、かなり期待値を上げて臨んでしまった。
うーん。
これは、ハマる人とハマらない人がいるのだろう、きっと。そして、ワタシはハマらない人だ。
バレー部キャプテンの桐島が、突然部活をやめた。数日学校にも来ず、連絡もつかない。バレー部員、友人、ガールフレンドなど、桐島と直接関わっていた生徒の日常は、微妙にバランスが崩れる。そして、桐島の不在に全く影響されない生徒ももちろんいる。
桐島は、「ただ」部活をやめただけだ。「ほんの数日」連絡がつかなくなっただけだ。事故死や重罪を犯して塀の中に入っているなど、極端にショッキングな出来事があったわけではない(少なくとも、不在中他の生徒からこれらを危惧する発言はなかったと思う)。それなのに、周囲は同じ高校生に極端に依存してしまうものだろうか。連絡がつかなかった桐島が学校に来たと言って、極端に大騒ぎするだろうか。ワタシはココに違和感があった。
桐島は、スポーツができて、恐らくは勉強もできて、バレー部員だったのだから恐らく背も高くて、女にモテモテだから恐らくカッコいいのだろうと思われる。その桐島は、劇中一度も登場しない。これは、正直言って予想していたし、またそうあってほしいとも思った(桐島ではないかと思われる生徒のシルエットが後半に登場するが、断定はされていない)。
結局、桐島のことを描きたかったのではなくて、桐島の周囲にいる、桐島になれない、またはならない生徒たちを描きたかったのだろう。
前半は、同じストーリーを視点を変えて何度も描いている。このアプローチは、『エレファント』で観たことがある。キャストは、桐島に影響されない映画部員山田に神木隆之介、桐島の親友に宏樹に東出昌大、桐島のガールフレンド梨紗に山本美月、彼女のグループのかすみに橋本愛。いずれも、次代を担う若手たちだろう。
女子グループのひとりに、沙奈という子がいる。はっきり言えば「イヤな女」だ。宏樹と付き合い、桐島と付き合っている梨紗と親しくしていることにステータスを感じ、周囲を見下す発言をすることもある。ただ、観る側に「イヤな女」と思わせるということは、沙奈という役と、彼女を演じている子(松岡茉優という人だった)のシンクロ率が、最も高かったとも言えるはずだ。
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