仲村秀生さん死去
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最終更新日:2023/03/12
あしたのジョー
舞台俳優・声優の仲村秀生さんがさる7月30日に亡くなられた。79歳だった。
ワタシは舞台俳優としての活動は存じ上げないが、声優としては2つの大きな役を演じられたことで記憶している。『宇宙戦艦ヤマト』シリーズの島大介、そして『あしたのジョー』の力石徹だ。
島大介は、ヤマトの航海士にして主人公古代進の親友という役どころだった。ヤマトは大平洋戦争時代の戦艦ヤマトを高度な技術によって宇宙戦艦に仕立て上げ、地球を救うという使命を背負い宇宙を航海するのだが、キャラクターよりもヤマトそのものがスポットを浴びることが少なくなく、そのときキーマンになるのが島だった。
冷静で判断力に優れ、熱血漢で暴走気味の古代にストップをかける役回りでもあった。『さらば』の終盤、ヤマトが超巨大戦艦に特攻をかける際、古代の判断により何人かはヤマトを離れ地球に帰ったのだが、島もその中にいた。自らの命をぶつけて地球を救った古代と、地球の未来を担うという名目で生き延びた島では、どうしても古代が儲け役で島が損な役だ。しかし、こういう存在は絶対に必要だった。
そして『あしたのジョー』の力石だ。はっきり言えば無口で陰気。しかし、その存在感は絶大だ。少年院でジョーと出会い、最初こそ見下していたが対戦後はライバルと認め、そして晴れてプロのリングで対決。その前には、過酷な減量によりジョーのバンタムにまで階級を落とすというドラマまであった。
男と男のライバル関係は数限りなく描かれてきたが、主人公であるジョーが敗北しているのに、納得させられるのが力石の懐の深さだ。ジョーに勝利した後に力石は死んでしまうが、その後しばらくの間ジョーは力石の「亡霊」に悩まされることにもなる。
ジョーは原作もアニメも共に評価が高いが、アニメの評価が高い理由のひとつが声優陣だと思う。ジョーをあおい輝彦、丹下段平を藤岡重慶、そして力石が仲村さんだった。宮崎アニメで俳優やタレントが声優を務めるのはワタシは大嫌いだが(役に合っていないから)、ジョーの声優はみな役に融合していた。映画では細川俊之が力石の声を担当することもあったが、やはり仲村さんの声がいちばんしっくり来ていたと思う。
謹んで、ご冥福をお祈りいたします。
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