アトムス・フォー・ピース(Atoms For Peace)@Studio Coast 2013年11月22日
公開日:
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最終更新日:2024/09/23
ライヴ アトムス・フォー・ピース, トム・ヨーク, レディオヘッド
16時半過ぎに会場に到着し、その30分前より販売開始されているグッズからTシャツを購入。少し時間を潰した後、いざ入場。オープニングアクトのANSTAMを経て、19時20分についにその時が来た。
ライヴは、アルバム『AMOK』の1曲目でもある『Before Your Very Eyes…』でスタート。いきなりガツンではなく、ゆったりめに入ったなあと思ったのもつかの間、演奏の最中に緊張感が増していく。トム・ヨークとフリーとナイジェル・ゴドリッチが体を寄せるようにギターやベースを弾くが、曲の後半になるとナイジェルは卓に移り、トムはギターを手放して踊りを交えつつ歌い上げた。
まるでライヴには向かなそうな『Default』も、5人のプレーヤーたちによって生々しく再構築され、そして『The Clock』は早くもショウの沸点になった。バックドロップのライティングがド派手になり、演奏もよりエモーショナルになった。視覚と聴覚の双方が、この世のものとは思えぬ感覚にさらされたような気にさせられる。
トムとフリーは、共にロングの巻きスカート姿。トムもそうだが、フリーをライヴハウスの近さで観られるのは圧巻であり、贅沢だ。トムはギターを頻繁に変えるが、ギターを持たずヴォーカルに徹することも少なくない。ステージ上を頻繁に動きながら弾くフリーのリフは、やはり強力だ。
トムの参謀格と言っていいナイジェルは、ギター、キーボード、プログラミングと多彩なパートをこなす。ドラムのジョーイ・ワロンカーは正確無比なリズムを叩き出し、そしてパーカッションのマウロ・レフォスコは、トリッキーな打楽器を使い分けていた。このマウロの存在が、レディオヘッドのみならず幾多のロックバンドとアトムスとを一線引いているのだと思う。
『Harrowdown Hill』は、フリーによるイントロのベースリフだけで場内が沸き立ち、トムのヴォーカルが始まったそのとき、まるでここではないどこか、別世界へと連れ去られていくかのような感覚に陥ってしまう。この感覚こそが、レディオヘッドのライヴとの大きな違いであり、このスーパーバンドだからこそなし得る業だと思う。
宅録色の濃い『Cymbal Rush』は、ライヴの場では、肉体性に満ちた表現力による伸びしろが最も大きい曲だ。アトムスの何がすごいって、どこの誰もやらなかった(あるいはできなかった)アプローチを成し遂げてしまったことで、それをあまりにも高いレベルで実現しているがために、模倣者すら出てこない。
この後メンバーはいったんステージから掃けていく。ここまでが本編で、この後がアンコールという扱いだろうか。『Feeling Pulled Apart by Horses』というトムのソロ名義でかつ配信のみリリースの曲で始まるが、まあこれがこのライヴの場には似合いすぎている。続くは『Hollow Earth』で、なんとセットリストを変えてきた。
レディへのカヴァー『Paperbag Writer』を経て、アルバムタイトル曲『AMOK』で締めた。セカンドアンコールは、『Atoms For Peace』『Black Swan』の2曲。こうして、異次元空間の体験であるかのようなライヴが、幕を閉じた。
正直言って、ライヴ前半は誰に注目していいかわからなかったが、結局はライヴを牽引しているトムとフリーの2人に注力することになった。明日23日の公演にも行くので、今度はナイジェルの多彩ぶりやマウロの使いこなしている打楽器群、ジョーイのプレイにも注力してみたい。
セットリスト
Before Your Very Eyes…
Default
The Clock
Ingenue
Unless
And It Rained All Night
Harrowdown Hill
Dropped
Cymbal Rush
(encore 1)
Feeling Pulled Apart by Horses
Hollow Earth
Rabbit in Your Headlights
Paperbag Writer
Amok
(encore 2)
Atoms for Peace
Black Swan
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