スウェード(Suede)@Shibuya-AX
公開日:
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最終更新日:2023/10/01
Suede スウェード, バーナード・バトラー, ブレット・アンダーソン
ワタシにとって通算5度目となった今夜のスウェードのライヴは、これまででベストになるかもしれない。
予定時間を15分過ぎても始まらず、一瞬不安になる。が、その後客電が落ち、シンフォニーのSEが響く中をメンバー登場。最後に姿を見せたのが、ブレット・アンダーソンだ。新譜『Bloodsports』から立て続けに4曲演奏するのだが、出だしが『Always』『Snowblind』と、ここまでの来日公演のセットとまるで変えてきた。いきなり、まさかの展開だ。続く『Barriers』『It Starts And Ends With You』で、早くもショウはピークに達しつつあった。
『Bloodsports』は、リリースされたことに納得できる出来ではあるが、さりとてそれまでのアルバムに比肩するかと言われれば、強く肯定するには至らない。だから、正直ワタシは不安だった。しかし、ここでは意外なほどにライヴ映えしていて、違和感がほとんどない。というより、むしろあたまを新譜の曲で固めてきたのは正解とすら思えてしまう。
そして、サイモンの乾いたリズムによって始まる曲、『Firmstar』へ。少しも錆び付かず、曲が備える輝きは今なお健在だ。そして、すかさず『Trash』だ!ここで、場内の空気ががらりと変わり、室温は間違いなく数度上昇した。高いレベルでのシフトチェンジがなされ、バンドとオーディエンスがひとつになった瞬間だ。
ダメ押しは止まらない。スウェード初期の看板曲だった『Animal Nitrate』に、優れたカップリングの一端をなす『To The Birds』だ。バーナード・バトラーによる妖しく耽美的な世界観が、よみがえってくる。更に意表を突く『By The Sea』ときて、新譜からの曲をたくさん演奏しているのに、この懐の深さはなんだと驚かされる。
ドラムやキーボードなどの機材はステージ後方に設置され、前方にはかなりスペースがある。これは、もちろんブレットのためだ。ステージ上を右に左にと絶えず動き回り、膝をつき、フォトピットとの間の台に立ち、モニターに足をかけ、モニターからジャンプし、前列に詰めているオーディエンスとタッチを交わし、あるいはもみくちゃにされる。黒いシャツに黒いパンツ姿のブレットは、『Trash』の辺りから上半身びしょびしょだ。
メンバー配置は、後方中央にドラムのサイモン、その向かって左にベースのマット。更にその左には、キーボードのニールだ。ニールは曲によりギターも弾き、その際はステージ前方に立っていた。ほとんど無表情だったが、スーツをびしっと着こなし、モッズのようないでたちはかっこよかった。
マットは曲によっては前方に出てプレイ。ブレットとほぼ変わらない上背で、軽く上体を揺らしてリズムを刻むその姿は、ブレットとは対照的のさりげないかっこよさを見せていた。そして、ギターのリチャードだけが、常に前方にいることを許され、ブレットの向かって右に陣取っていた。またニールとのツインになるときでも、リードはほぼこの人が担っていた。
曲と曲の間は極力廃され、ほとんど連続で演奏されている。ギターの交換や水の補給なども、アウトロやイントロの際に行われていた。勢いを殺さず、熱いテンションを持続させ、更に上のレベルにまで押し上げようとしているようだった。『Can't Get Enough』に続き、ワタシにとってのまさかの、そしてもちろんハイライトとなる瞬間がやってきた。
『New Generation』だ!!
世間にとって、あるいはスウェードファンにとって、この曲がどう位置付けられているかは知らない。しかしワタシに言わせれば、R.E.M.にとっての『Losing My Religion』のような決定的なアンセムだ。今回の日本公演ではここまで演奏されていなかったが、ここでついに解き放たれた。至福の瞬間だ。ブレットはついにステージを降りてフォトピットを歩き、前列のオーディエンスとタッチしながらも熱唱。曲が終わった直後のブレットの満足げな表情が、全てを物語っていたと思う。
続く『My Dark Star』は、ニールのキーボードとブレットのヴォーカルというシンプルな構成。終盤は『Everything Will Flow』から『So Young』を経て『Metal Micky』(ココのつなぎも最高によかった)となり、『Beautiful Ones』にて本編終了。アンコールは、今回のツアーのお決まりらしい『Hit Me』だった。
セットリスト
Always
Snowblind
Barriers
It Starts and Ends With You
Filmstar
Trash
Animal Nitrate
To the Birds
By the Sea
Sabotage
Killing of a Flashboy
Can't Get Enough
New Generation
My Dark Star
Another No One
Everything Will Flow
So Young
Metal Mickey
Beautiful Ones
アンコール
Hit Me
ブレットのステージに賭ける意気込み、ファンとの距離を少しでも縮めんとする姿勢は、グリーン・デイのビリー・ジョー・アームストロングにも劣らない。そしてブレットは『Beautiful Ones』の前のMCで、「see you very soon」と言っていた。リップサービスだと思いつつ、それでも期待してしまう自分がいる。
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