森田芳光さん死去
映画監督の森田芳光さんが急性肝不全で亡くなった。61歳だった。
伊丹十三と並び、80年代に映画界に新風を吹き込んだ新感覚派的な映画監督、という印象があったので、61歳と聞いて少しびっくり。もう少し若い人のイメージを勝手に持っていた。まあ、1980年からもう31年経っているしな。。。
代表作は、恐らく社会現象にもなった『失楽園』ではないかと思う。しかし、コレは渡辺淳一の原作のインパクトが強く、それが映像化されたという感覚だ。となると、やはり『家族ゲーム』になるか。松田優作がアクション俳優のイメージを脱却するのに成功した作品で、上記の伊丹も俳優として出演している。一家が横一列で食事しているシーンが、思い出される。
個人的に思い入れが深かったのが、夏目漱石原作の『それから』。原作は『三四郎』『それから』『門』という三部作を成していて、これらを先に読んでいた状態で映画を劇場まで観に行った。映像の美しさは市川昆作品にもひけを取っていなかった。そして、一番の儲け役は小林薫。翌年の日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞していたが、ワタシはそうなると思っていた。
『それから』には、森田=優作コンビ再びという背景もあった。優作の遺作となった『ブラック・レイン』でのオーディションの際、監督のリドリー・スコットは『それから』での優作の演技をとても気に入っていたというエピソードがある。
もっと高齢でも現役で映画監督として活動している人が少なくない中、61歳での死去は早すぎて、残念でならない。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。