原田芳雄さん死去
俳優原田芳雄さんが午前に肺炎で亡くなった。71歳だった。
原田さんは、もちろん主役も演じているが、むしろ主役に大きな影響を与える役どころの方が似合っているように見えた。クールでダンディー、しかし普段は結構コミカル。日本の俳優陣において、異色中の異色な存在だった。
かの松田優作も、原田さんに大きく影響を受けていた。優作の半生を綴った『蘇る松田優作』というノンフィクション本があるのだが、優作は原田さんを兄のように慕い、隣に引っ越してきて家族ぐるみでの付き合いをしていたという。
その優作が亡くなったとき、弔辞を読み上げたのが原田さんだった。「俺は今までお前が死ぬとこを何度も観てきた。そしてその度にお前は生き返ってきたじゃないか。役者なら生き返ってみろ!生き返って出てこい!」という、この人らしいことばを添えていた。
遺作となった映画の試写会の様子を、少し前にテレビで観た。闘病中と思われ、薬の副作用なのか頭髪はほとんどなく、車椅子に腰掛け、そしてことばを発することもままならない状態で、共演した石橋蓮司がメッセージを代読していた。これがあのダンディーな原田さんかと、びっくりした。
謹んで、ご冥福をお祈りいたします。22年早く旅立った松田優作と、今頃は酒でも酌み交わしているだろうか。