タツノコプロ
NHKハイビジョンで、アニメ制作会社タツノコプロの特番を放送していた。『プロジェクトX』調だったのには少し笑ったが、内容は見応えがあった。
タツノコプロは、漫画家だった吉田竜夫とその2人の弟により創設。きっかけは、やはり漫画家だった三男の作品のアニメ化の話が出たとき、自分たちでやろうと思い立ったからだそう。その背景には、鉄腕アトム/虫プロへの意識があった。スタッフは、ほとんど素人の集まりだったそうだ。
しかし、社長である吉田の指揮のもとに優れた作品を生み出し、その人たちは現在も第一線で活躍している。『ガンダム』で美術監督をした中村光毅、そのガンダムを始め多くのメカをデザインした大河原邦男、『ファイナルファンタジー』のビジュアルを手がけた天野喜孝、映画監督の押井守などだ。
大河原は中村のアシスタントとして仕事を始め、中村は大河原の才能を見抜いて大きな仕事を任せるようにした。天野は遅刻が多く問題児だったそうだが、吉田は天野に一週間会社に来なくていいから次の作品のキャラクターデザインをしろと宿題を出した。そして一週間後、天野が持ってきたデザインに社内は騒然となった。それまでのタツノコのキャラは劇画タッチだったのが、天野が出したのは丸みを帯びて親しみやすく、それでいてヒットを予感させるものだったからだ。そのデザインは、「タイムボカン」になった。
吉田は30年近く前、40代半ばの若さで亡くなってしまった。しかしタツノコプロは、現在も続いている。
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