手塚治虫戦争館
毎年この時期になると、テレビでは戦争関連の特番や映画が放送される。そして、この4月からBSで放送されている『週刊手塚治虫』は、3時間特番として放送。手塚マンガの中から、特に戦争に関係した作品がピックアップされた。
田原総一朗や里中満智子など6人の論客が、それぞれにコメントをするという構成で進められた。6人の論客は、田原以外は戦争未経験者だった。通常の回ではスタジオにいてアシスタントを務める杏の姿は今回はスタジオにはなく、手塚が少年時代を過ごした地を訪れて関係者や手塚の実弟などから話を聞いていた。
紹介された作品は、お馴染みの『鉄腕アトム』『火の鳥』『ブラック・ジャック』などのほか、晩年の傑作『アドルフに告ぐ』や短編ものなどだった。自らの戦争体験が元になっている『紙の砦』や、教師になった主人公がクラス会で戦争で亡くなった同級生たちと会う『カノン』が心に染みた。代表作の特にアニメ化された作品は、正義やファンタジーの方が強調されていて、自分が本来伝えたかったこととの間にギャップが生じていることに手塚自身も苦悩したようだ。
戦争・反戦をテーマにして3時間の番組ができることも(もっと長くすることもできると思う)、手塚治虫のマンガ家としての懐の深さを示すひとつだと思う。
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