プリンス(Prince)『LotusFlow3r』
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最終更新日:2023/02/12
CD プリンス, ポール・マッカートニー
プリンスが、今春3枚組のアルバムをリリースしている。これが、いろいろな意味で話題になっている。
まずは流通網だ。アメリカの大手スーパーマーケットチェーン「ターゲット」からの独占販売となり、レコード会社やレコードショップは関与しない。全体的にCDの売り上げが下降する傾向にあり、アメリカでは既にタワーレコードも破綻していて、アーティストが自ら販売網を確保しようという動きは高まるばかり。ポール・マッカートニーのスターバックスとの提携や、オンラインからのダウンロード販売などは、そうしたことなのだろう。
さて、アルバムの内容だ。1枚目が『LotusFlow3r』で、ロック7、ジャズ/ファンク3といったところの音作りで、『Rainbow Cjhildren』や『Planet Earth』の系譜を継承している印象がある。個人的には、3枚の中で最初聴いたときに最もしっくりきたアルバムだ。2枚目は『MPLSound』で、こちらはメロウな曲が並んでいる。鍵盤の音色やコーラスなどの音作りは、プリンスの初期、つまり『For You』から『Cobntroversy』までの音を思い起こさせる。一聴したときは少し面食らったが、繰り返し聴くうちに深みを感じられるようになった。
そして3枚目だが、コチラはプリンスがプロデュースしたブリア・ヴァレンテという新人女性シンガーのアルバム『Elixer』になっている。ヴォーカルこそこの人だが、音は聴けばすぐわかるプリンス印で、かつてのアポロニア6やヴァニティ6の女性ソロアーティスト版というように思えなくもない。そして、コチラも繰り返し聴いているうちに感じるようになったのだが、全曲プリンスが歌ってしまえば、そのままプリンスのアルバムとして成立するクオリティがあるということだ。
もともとプリンスが目指していたことのひとつに、ボーダーレスがある。人種、男女、音のジャンルなどがそれで、現在も自身のシンボルにしている例のマークは、男女の記号とラッパ(=音楽)を組み合わせていて、境界線を崩し、混合させることを意味している。今回のブリア・ヴァレンテも、言わばプリンスの表現手段のひとつとして選ばれた人なのではないだろうか。
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