手塚治虫の全て
手塚治虫生誕80年の一環で、NHK-BS2で特番『手塚治虫の全て』が放送された。
4時間半の長丁場で、過去にNHKで放送された手塚関連の特番をいくつか紹介し、合間にNHKの女性アナウンサーと、手塚治虫の息子でビジュアリストの手塚眞がナビゲーションや補足を入れるという構成になっていた。
放送された番組は、手塚の仕事場にカメラを入れ、まさにマンガを執筆しているその姿を捉えたものから始まった。家族でさえ入り口までしかいれなかったと言われていて、なのによくカメラを入れるのを許可したなと思った。おにぎりを食べながらもペンを走らせる手塚、時には煮詰まって苦悩する手塚、こうした、今では非常に貴重と言える場面を、カメラは捉えていた。
他には、手塚もかつて住んでいたトキワ荘と、そこで集ったマンガ家たちのドキュメンタリーだ。赤塚不二夫や藤子不二雄、石ノ森章太郎など、そうそうたる面々の表情を捉えていた。また別の番組では、少年ジャンプの手塚賞の授賞式の風景もあって、受賞者だった若者に手塚が声をかけ、褒めているシーンがあった。その若者は、後に『ジョジョの奇妙な冒険』を書く荒木飛呂彦だった(違う名前だったので、「飛呂彦」はペンネームだったのかな?)。
晩年の手塚は、病に犯されながらも家族の入院の勧めを拒否し、ひたすらマンガを描き続けたそうだ。それでも無理がきてしまい、ついに入院。すると今度は、病室に画材等を持ち込んでそこで執筆。退院後も、マンガだけでなく頼まれれば精力的に講演活動を行っていた。手塚が断らなかったのは、講演の聞き手が子供たちだったからだろう。無理して聞かなくてもいい、眠くなったら寝てもいい、とまで最初に言い、ホワイトボードに自らが生んだキャラクターを書きながら、作品に込めた想いを語っていた。
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