松田優作は生きている
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最終更新日:2023/02/12
ドキュメンタリー ローリング・ストーンズ, 松田優作
松田優作20回忌にリンクして、BSジャパンで特番『松田優作は生きている』が放送された。
これまでにも何度となく特番は放送されてきたが、今回はまたひと味違っていた。何が違っていたのかというと、まず俳優としての顔以上にミュージシャンとしての松田優作にスポットを当てたこと。そして、松田優作を知る周辺の人のコメントの中でも、これまで出てこなかったであろう2人の人が登場していることだ。
俳優としての松田優作は、これまでにさんざん語られている。そして、それを語る俳優も少なくはない。今回も桃井かおりや石橋凌、国村準といった人たちが出てきてはいる。ただ、ある時期から優作は俳優としての活動と並行してミュージシャンとしての活動もするようになった。ローリング・ストーンズのカヴァーを歌い、オリジナル曲はそのほとんどを自ら作詞していた。この番組では、何度か行われた全国ツアーの模様を追っていて、客が暴れたハプニングも優作自身は楽しんでいたとか、興味深いエピソードが披露されていた。
松田優作は、極端な写真嫌いだったそうだ。その優作が、唯一心を許したカメラマンがいた。渡邉俊夫という人で、この人は学生時代に優作に入れ込み、私設のファンクラブを作って全国にネットワークを広げていた。やがて単身上京し、押しかけ同然で事務所に行ったのだが、当時の女性マネージャーが渡邉を優作に引き合わせてくれた。優作も、渡邉を受け入れたそうだ。渡邉は俳優としての優作だけでなく、ミュージシャン優作のツアーにも同行し、やがてプロのスチールカメラマンになった。
番組の中で、渡邉と当時の女性マネージャーとが20数年ぶりに再会する。女性は銀座でお店を持っていて、そこを訪ねた渡邉は、まるで上京したての頃の少年に戻ったかのようだった。その女性は、渡邉が当時撮った写真を大切に保管していた。渡邉はなぜ自分を受け入れ優作に引き合わせてくれたのかを尋ね、女性は渡邉の目を見て人柄を見抜き、また当時女性は離婚したばかりで、自分の息子の面影を渡邉に見たのだと語っていた。
松田優作20回忌の翌日、渡邉は松田優作の写真集を出版する。撮影の合間にリラックスしている優作や、ステージに立ち熱唱している優作の姿などが、収められているとのことだ。