イカ天2007復活祭
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最終更新日:2023/10/12
アイデン&ティティ
年末にTBSで放送されていた、「イカ天2007復活祭」を観た。
「イカ天」とは、もともと元号が平成になった直後にスタートし、2年弱の間放送されていた「平成名物TV いかすバンド天国」という番組だ。毎週アマチュアバンドが登場して演奏し、それを業界人が辛口で審査するというもの。幾多のアマチュアバンドが登場しては消えて行ったが、その中を勝ち抜いた何組かはプロデビューし、日本のロック史にその名を刻んでいる。当時はバブル真っただ中であり、バンドブームも沸き起こり、イカ天は一介の番組の枠を超えた社会現象を巻き起こす怪物番組にまでのし上がっていた。
今回の「復活祭」は、当時司会を務めていた三宅裕司や審査員だった萩原健太、吉田健らがスタジオに集まり、また現在海外在住の相原勇もこの特番のために呼び寄せ、当時の映像を流しながらトークを進めるというものだ。登場するバンドは技術うんぬん以前のインパクト重視のバンドが乱立していて、審査員の歯に衣着せぬ批評の前に次々と撃沈。ガールズバンドはプリプリの亜流のように、ポップなバンドはユニコーンの亜流のように見えた。そんな中を勝ち上がったバンドはその週のチャンピオンとなり、5週勝ち抜いたバンドはグランドチャンピオンとなった。
登場したバンドは、フライング・キッズ、マルコシアス・バンプ、たま、ブランキー・ジェット・シティ、ピンク・サファイヤ、ノーマ・ジーン、宮尾すすむと日本の社長、中学生日記、人間椅子、リモート(池田貴族のバンド)、大島渚(みうらじゅんのバンド)など。やがてソロデビューを果たす小野正利も、バンドのヴォーカリストとして出場していた。BEGINとカブキ・ロックスの氏神一番はスタジオにも登場し、当時の様子を語ってくれた。ノーマ・ジーンのグランドチャンピオンを阻んだのがBEGINであり、たまに敗れたマルコシアス・バンプは、その実力が買われて萩原健太の英断で仮チャンピオンとなり、その後実力でグランドチャンピオンとなった。
今回映像を観て思ったのは、その後の活動を知った上で観ているからかもしれないが、プロとして成功するバンドは、アマチュアの時点で既に独自の輝きを放っているということだ。バンドブームは、誰でもバンドができるという安易さを招いたようなネガティブな見られ方をすることが少なくないが、その中から選ばれたバンドは唯一無二の存在感を誇っていたと言えよう。アマチュアバンドだけで元日に武道館でのイベントができてしまったというのも、いい時代だったなあという温かさを感じてしまう。
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