ベック(Beck)、アート・エキシビション & サイン会(2)
まずはCD『Guerolito』のデジパックのブックレットを開いた状態で差し出し、ココにサインしてもらえるように指差した。
てっきりサインをさらさらっと書いてそれで終わりなものとばかり思っていたのに、なんとベックは、ブックレットに描かれている鳥に泣き声を入れ、ビデオカメラを持っている女性から点線を引っ張り、その先にある「Beck」の文字(人の顔が変形して文字になっている)とその上を飛んでいるコウモリをマルで囲んだ。そして最後に、サインをしてくれた。説明がわかりにくいかもしれないが、つまりベックはただ単にサインをしたのではなく、ファンが持ってくるアートに沿って自分のアイディアを盛り込んでくれたのだ。
サイン会は、アーティストと直接コミュニケーションがとれる非常に貴重な場ではあるが、ワタシは自分の番が終わればそれまでだが、片やベックは多くのファン(整理券は恐らく300枚配布された)にサインし続けなければならない。当然、スタッフからは握手禁止とかいろいろなお達しがされている。こうした状況下で、短時間にインパクトのあるコミュニケーションを取るべく、ワタシはある秘策を以って臨んでいた。
サインをしてもらった後、ワタシは「Thank you for Pixies cover!!」と言い、そしてベックに背中を向けた。ワタシはリキッドとZepp Tokyo公演に足を運んでいたが、後半のテーブルセットの中でベックはピクシーズの『Wave Of Mutilation』を披露していた。ワタシのコメントはココを突いたものであり、そしてワタシはピクシーズのツアーTシャツを着ていた。表だけ見ると誰のTシャツかわからないプリントだが、バックプリントには大きく「PIXIES JAPAN TOUR 2005」とあって、これをベックに見せたのだ。するとベックは、ありがとう、ピクシーズのカヴァーはオーストラリアの公演から始めているんだ~といったようなことを返してくれたのだ!
この後は、アート展をひと通り楽しんだ。大きなスクリーンに流れる『The Information』のPVや、複数のアート作家によるベックのポートレイトやイメージ画、そしてCD『The Information』のジャケットのアレンジ可能なパターンなどが、主な展示物だった。多くの人が殺到したとはいえ、入場までの仕切りのひどさはサマソニを大きく上回るといっても過言ではなかったが、ベック本人と会えたことでいい気持ちで会場を後にすることができた。
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