もうすぐOasis来日
個人的にひと月以上のライヴのインターバルが空いて、今週末にオアシスを観に行く。オアシスについては。95年の2度目の来日公演以来、フェスであれ単独であれ、日本に来れば必ず観に行っていた。
のだが、今回ほど来日を前にしてわくわく感がないときはない。そもそも、作品をぜんぜん聴いていない。これではいかんと思い、今日の通勤を利用して久々に作品を聴いた。『Don't Believe The Truth』『Heathen Chemistry』『Standing On The Shoulder Of Giants』という具合で、つまり新しい方からさかのぼって聴いた。
今ではオアシスに対する評価は初期2枚に集中してしまっているが、確かに初期2枚はいくらでもシングルカットできそうな曲ばかりで、それ以降の作品はというと、少し複雑だったり、混沌としていたり、焦点が定まっていなかったりする。ではあるのだが、改めて聴き直すと、『Heathen Chemistry』は新メンバーで初期2枚を再現しようとしているような感じで好感が持てるし、『Giants』もリアムが初めて書いた曲『Little James』などは、隠れた名曲としてもっと騒がれていいのでは、なんて思ってしまう。
でもって、最新の『Don't Believe The Truth』だが、ワタシにとってはちとやっかいな作品だ。曲を書くのをメンバー4人で分け合ったこと自体はいいことかもしれないが、作風としては統一感がなくとっちらかった感がある。キャッチーな曲も『Lyla』のみ。今年も残すところあと1ヶ月と少しだが、2005年年間ベストアルバムを考えるとき、この作品を挙げる人は果たしてどのくらいいるだろう。本国イギリスでは、この作品ってどのくらい売れたのだろう。どのくらい評価されているのだろう。・・・なんて、いろいろとごちゃごちゃ考えてしまう。
続けて聴いたのは、『Be Here Now』と『The Masterplan』。『Be Here Now』は、オアシス凋落のきっかけになったような作品で、ノエルにとっては自信作のはずだったのが、セールスで前2作を下回り、そして評論家筋からも叩かれ、最後にはノエル自身否定的な発言をするようになった。久々に聴いてみて、もっとポップな音だと思っていたのが、シングルカットされた曲以外の中には結構混沌とした曲があって、既に次作以降の兆候が見える。とはいえ、タイトル曲はもとより『My Big Mouth』『Magic Pie』など圧倒的だし、ここはノエルの発言を取っ払らい、もっと評価されていい作品だと思う。ちなみに、個人的には最も好きなオアシスのアルバムです。
『The Masterplan』はシングルのカップリング曲をかき集めた作品だが、まず冒頭の『Acquiesce』が圧巻。リアムが主メロを歌い、サビをノエルが歌うという曲の展開も好きだし、ライヴでは必ずハイライトを飾る。個人的にもオアシスのベストトラックで、オリジナルアルバム未収録になってしまったのが、今もって不思議だ。他にも『Fade Away』や『Rockin' Chair』など佳曲が揃っていて、全体的に編集ものとは思えないくらいテンションが高い。
この2枚、『Be Here Now』は71分オーバー、『The Masterplan』も66分オーバーと、いずれも大作の部類に入る。以降の作品が、50分前後に収まっているのとは対照的だ。
そして、『Familiar To Millions』と『Morning Glory』を聴いた。前者は2枚組のライヴアルバム、後者は言わずと知れたセカンドだ。
まず『Familiar To Millions』だが、この作品のリリースは、バンド側の経済的事情によるものだと思う。『Giants』に伴う2000年の公演を収録しているのだが、『Giants』の制作時はまだボーンヘッドとギグジーがバンドに在籍していて、この2人はレコーディング終了後に脱退している。その後加入したのがアンディ・ベルとゲム・アーチャーで、ツアーは新メンバーで行っていた。つまり、『Giants』がいくら売れてもアンディとゲムには印税がさっぱり入ってこないわけで、ノエルがその辺りを考慮してライヴアルバムのリリースに踏み切ったのだと思われる。さて音の方だが、ロンドン公演を収録しただけあって、客の歓声が尋常ではないくらい凄い。ヘッドフォンで聴いているとその凄まじさが一層実感できる。選曲は『Giants』プラス初期2作で、『Be Here Now』からは『Stand By Me』1曲のみ。早くもライヴの舞台から葬り去られようとしている。
『Morning Glory』だが、当時リアルタイムで聴いていたとき、ワタシはよくできた作品ではあるが、「偏っている」という印象を持っていた。それが今回聴き直してみて、鉄壁というか、バンドが上昇気流に乗って向かうところ敵無し状態で驀進していくさまが伺え、びっくりしてしまった。シングルカットされた曲以外もポップでキャッチーで聴きやすく、いわゆる捨て曲というのがない。リリースは95年で、つまり10年前の作品なのだが、そうした時の流れに負けて色あせることもなく、今なおリアリティを以って聴く側に迫ってくる。
オアシスの日本公演は、明日の大阪からスタートする。今日はもう日本の地を踏んでいるだろうか。
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