僕らの「ヤング・ミュージック・ショー」

NHKでは、毎週日曜夜に「NHKアーカイブ」という番組を放送している。過去に放送された番組の中から、特に反響の多かったものを今一度取り上げるというもので、昨年の5月にこの枠で「ヤング・ミュージック・ショー」のKISS武道館公演が放送された。この放送をきっかけとして、とある作家が「ヤング・ミュージック・ショー」の歴史を掘り下げて一冊の本に仕上げることを思いつき、番組の担当ディレクターに取材。こうして、「僕らの「ヤング・ミュージック・ショー」」という分厚い本が出来上がった(読むのに2ヶ月かかった)。

「ヤング・ミュージック・ショー」は、1971年から85年まで放送されていた。内容は洋楽ロックのライヴの放送で、コンサート会場やNHKスタジオなどでの収録、海外で放送された映像を再編集するなどして放送していたようだ。現在でも地上波テレビ局では決定的な洋楽番組が見当たらない中、放送当時のこの番組の存在は革命的であったに違いない。本書には、収録のウラ話やアーティストの状況などが克明に記されていて、当時の空気感のようなものが浮かび上がってくる。現在なお親しまれているアーティストもいれば、誰？というようなその時代にしか生きられなかったアーティストもいて、時代を感じてしまう。惜しいのは、番組そのものの検証に入る前にテレビの歴史や世情などを整理している章があるのだが、ここにページを割きすぎていることだ。

さてワタシと「ヤング・ミュージック・ショー」となると、非常に残念なことに、この番組を観たという記憶がない。世代的に、末期の方は観ていてもいいはずなのだが・・・。友人との間の会話でも、「ベストヒットUSA」や「夜のヒットスタジオ」などが話題になることはあったが、この番組は話題にならなかった。NHKでの放送なので、ワタシの住んでいた田舎でもちゃんと放送していたはずなのに。しかし記憶を振り絞り、「ヤング・ミュージック・ショー」と知らずにたまたま観たことを思い出した。それは、バンドエイド『Do They Know It's Christmas?』の収録が如何にして行われたかというドキュメンタリーだった。