上條淳士『SEX』、完結
80年代の終わり頃にヤングサンデーに連載されていた上條淳士の『Sex』が、単行本で毎月刊行されていることを少し前に知り、以来こつこつと買い続けて来た。そして今月が最終となる7巻の刊行であり、これで完結。
連載当初、ワタシはヤングサンデーをリアルタイムで読んでいたので、『Sex』についても序盤はうっすらと記憶していた。ただその後のお話や、単行本でどうなったかということは知らなかった。当時単行本としては2巻までしか出ておらず、3巻以降については「幻」と化していて、今回の再発は待ちに待った刊行とのことだ。
この人の漫画は、『To-y』に代表されるように、緻密かつ斬新にして乾いた絵のタッチが特徴だ。ワタシは漫画やアニメーションについては、どんなにストーリーがしっかりしていても、絵が下手だと敬遠しがちなのだが、この人の漫画はワタシの勝手な基準を大幅にクリアしている。
個性的な登場人物の暴れっぷりにも目を見張るものがあるが、舞台となる街にも惹かれるものがある。福生、横須賀、そして沖縄。ワタシは3年前に沖縄に旅行しているので、この漫画の中に描かれている風景も、よりリアルなものとして感じることができた。巻末には他の漫画家によるイラストが掲載されていて、同業者からもリスペクトされていたことが伺える。7巻で完結といっても、完全に何かが終わったわけではなく、続編が作れそうな終わり方だ(でも、まさかね)。
上條淳士には、『Flowers of Romance』という作品もあるそうだ。
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