ザ・クラッシュ(The Clash)『London Calling 25th Anniversary Edition』 発売記念イベント
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最終更新日:2020/11/08
The Clash ザ・クラッシュ, セックス・ピストルズ, ロンドン
クラッシュの『London Calling』がリリースから25年経つそうで、そのアニヴァーサリーエディションというのがまもなくリリースされる(UK盤9/20、日本盤10/6)。それにリンクしたイベントというのが、乃木坂のソニーミュージックのビルで開催。応募はソニーのサイト「HIHG-HOPES」から申し込み、抽選で当たると参加ハガキが送られてきた。当日は、クラッシュ/パンクをリアルで体験されたであろう年配の方から若いカップルまで約250名のファンが集まり、ステージのある会議室のようなところに通された。
イベントは午後6時過ぎにスタート。2部構成になっていて、第1部はトークショウ。ソニーの社員と思しき方が司会を務め、当時クラッシュに最も近かったと言われている3人のゲストに、さまざまなエピソードを語ってもらうというものだ。その3人というのは、当時の担当ディレクターの野中氏、音楽評論家の大貫憲章氏、そして現在はUS EPICの副社長をされているという、カズ宇都宮氏(この方はLAから電話で参加。現地は深夜2時だったそう)だ。クラッシュとの出会い、ツアーに帯同したときの話、インタビュー模様、82年の来日公演のときの話などをしてもらった。
25周年エディションは、3つのディスクから成り立っている。ディスク1は本編。ディスク2は、今年3月にミック・ジョーンズ所有の倉庫から出てきたという未発表音源。ディスク3は、過去のドキュメンタリー映像に未発表映像を交え、更に3曲のPVを付与したDVDだ。トークショウの中では、未発表音源の一部を聴かせてもらった。まずは『London Calling』のデモバージョンで、オリジナルを最初に流し、続いてデモを流して、テンポの違いやジョー・ストラマーの熱唱の度合いの違い、そして歌詞が異なっていることなどが解説される。完全未発表曲もいくつかあって、そのうちの1曲のサワリも流してもらった。
第2部では、DVDのダイジェスト映像が流された(約30分)。当時のマネージャーだったコズモ・ヴィニールをはじめとする、メンバー4人によるコメント。プロデュースを務めたガイ・スティーヴンスの、スタジオでの奇行(メンバーが演奏しているそばで、椅子を壊したりはしごをブン投げたりしている)、そして『London Calling』のPVだ。翻訳を2日前につけ終わったばかりで、この日集まった人たちは、恐らく世界一早くこの映像を観られたはず、と司会の人が言っていた。
トークショウ、主な話題は以下の通り。
【お3方のクラッシュとの出会い】
大貫氏とカズ氏は、デビュー前のクラッシュとセックス・ピストルズを、ロンドンの狭いライヴハウスで観たとのこと。しかし大貫氏は、その場ではクラッシュをピストルズと勘違いしたまま観てしまい、帰国後いろいろ情報を集めていくうちに、あれはクラッシュだったんだと気付いたそうな。野中氏は、ディレクターとしてクラッシュを担当してはいたものの、直接会ったのは80年のUKツアーに帯同したときが最初。
【80年のシェフィールド公演】
上記のツアー帯同というのは、時期としては『London Calling』リリース直後。バンドのインタビューをとるために、野中氏と大貫氏はメンバーやスタッフと同じ車両に乗り、寝食を共にした。シェフィールド公演のとき、客から初期の曲を演ってほしいという声があり、アンコールで『White Liot』を演奏。しかし、終了後にメンバーがステージ袖の方に引き上げた直後、ミック・ジョーンズがジョー・ストラマーに殴りかかるその瞬間を2人は目撃。これは、古い曲を捨てて音楽的に進化したいというミックと、ファンの声に応えなくてどうするんだというジョーの考え方が、ぶつかった結果だと想定される。
【ジョー・ストラマー】
野中氏によると、ジョーは「知性の人」だそうで、最初に聞かれたことは「お前はどんな本を読んでいるんだ」だそうだ。また大貫氏はインタビューに5分遅刻し、するとジョーはオレも今来たところだと、逆に気遣ってくれたそう(つまり大貫氏は、ジョー・ストラマーを待たせた男だ/笑)。「Punk is attitude」というかの名言も、確かにジョー本人から聞けたそうだ。
【82年来日公演】
クラッシュはどの国のレコード会社の社長とも食事をしないバンドとされていて、それがなぜか日本ではOKに。ただし、バンドだけでなくスタッフも同行させるように、という条件をつけてきた。ところが当日、バンドはファンも一緒に連れてきてしまい、総勢40人で焼肉店を貸切状態で食事することに。この件はビルボードにも掲載されたそうだ。またこのとき、ドラムのトッパー・ヒードンが暴れて窓を叩き壊してしまう。この時期どうやら薬漬けだったそうで、後にトッパーはバンドを脱退するが、実質クビだったらしい。
トークショウは、全般的に大貫氏がでしゃばるきらいがあったが、そこは司会者がうまくコントロール。個人的には、当時のディレクターである野中氏からの話題が興味深かった。
『London Calling』に関しては、音が届き、ポール・シムノンがベースを叩きつけるジャケット(エルヴィス・プレスリーのアルバムのパロディにもなっている)が届き、そしてタイトル曲のPV(当時はフィルム)が届き、で、コレはスゴい作品ができた!と、野中氏自身としては、相当気に入っていたようだ。クラッシュは日本では数字的には成功しておらず、アルバム辺りで2、3万枚程度だったそう(当時でも50万100万売れた洋楽アーティストはいたとのこと)。なのでこの作品も、宣伝にはそれほど力は入れなかったとのことだ(それをしなくてもコアなファンは手にとってくれるだろうし、その良さを理解してくれるはずだという、確信はあったようだ)。リリース当時よりも、後々になって名盤と賞賛されるようになってからの方がコンスタントに売れている、と大貫氏はフォローしている。
『London Calling』のアニヴァーサリーエディションはまもなく発売されるが、11月にはオリジナルアルバムの紙ジャケリリースがあるらしい。野中氏は、それにひっかけてまた「何か」をやりたいと考えているそうで、カズ宇都宮氏には、コズモ・ヴィニールを日本に連れてきてほしいという業務連絡(笑)をしていた。なので、年内にまたこうしたイベントがあるのかな。
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