キッス（KISS）初来日公演

ゴールデンウイーク中に、NHKアーカイブスという過去の放送を取り上げる番組の中で、kissの初来日公演を収録した「ヤング・ミュージック・ショー」がオンエアされた。

冒頭には、アナウンサーによる当時の状況が語られた。当時はまだ業務用ビデオテープが高価だったため、放送後は他の番組を上書きしていたこと。ところが消去されたと思われていたテープが偶然見つかり、可能な限りのリマスター処理を施して今回のオンエアになったこと。当時はまだロックが子供の教育に悪影響を及ぼすという見方の方が一般的で、ロックに夢中な子供を持つ親が、NHK宛に相談のハガキを出したりということもあったこと。大槻ケンヂとROLLYにインタビューしていて、リアルタイムで番組を見た2人が、当時を振り返りながら熱く語った。

さていよいよKISSのライヴだが、場所は武道館。客が全員座って楽しんでいる光景に、時代を感じる。曲は『Detroit Rock City』に始まり、『Firehouse』『Cold Gin』『God Of Thunder』『Rock'n Roll All Nite』など。たいまつの火を火炎放射器のように吹きかけたり、ジーン・シモンズが口から血のりをぶくぶくと噴き出したり、エース・フレーリーのギターの中がめらめらと燃えていたりと、お約束のパフォーマンスも満載。こうしたド派手な演出と、意外なほどにシンプルなサウンドというスタイルは、ロックにおけるひとつのジャンルの始祖と言っていいだろう。

ワタシは、KISSのライヴを1度だけ観たことがある。97年1月の東京ドーム公演で、実は自らの積極的な意思ではなく、知人がチケットを余らせていたのでそれに乗っかる形でだった。当時は前年にオリジナルメンバーでの活動を再開し、また巷に溢れるKISSマニアの飢餓感に応えるというタイミングで、そのテンションの高さはかなり異常だった。それまでは、KISSの東京公演といえば武道館と決まっていたのだが、このときが初のドーム進出だったのだ。そのKISSだが、メンバー交代を経つつも未だ現役で、そして今月末にも来日公演を行う。