Radiohead(レディオヘッド)(3)
2001年の秋の来日公演は、最終2公演となる10月3日、4日の横浜アリーナ2Daysに足を運んだ。3日は正直序盤はちぐはぐしていたように見え、少し戸惑った。『Kid A』『Amnesiac』からの曲と、それ以前の曲とでは温度差があり、以前の曲の方がライヴ映えしていた。あの2作の曲をライヴで表現するのは、当人たちと言えども困難なのだろうかと思ってしまった。しかし中盤以降は持ち直し、本編ラストの『Everything In It's Right Place』でピークを迎えた(まさか手拍子のノリになるとは思わなかったが)。4日についてはもう言うことのない内容で、曲毎の温度差も感じることなく、全編が高いテンションで貫かれたまま進んだ。
この日本公演がワールドツアーの最終となり、この年の暮れにはミニライヴアルバム『I Might Be Wrong』がリリース。この後彼らがしばしの休息に入ることは予想できたが、次なる一手をどう打つのだろうかという期待と不安があった。純粋な新作ではなく、ベスト盤をリリースしてグレイテストヒッツツアーでもするのかな、という思いもよぎった。しかし2003年、彼らは新作『Hail To The Theif』をリリース。そしてその内容だが、単なる電子路線の深化ではなく、かといってギターバンド回帰でもなく、それらを包含しつつ更に一段上の高みに登っていた。デヴィッド・ボウイはベルリン2部作の後回帰し、以降長期に渡って低迷したが、彼らは低迷どころか時代を牽引する存在になったのだ。
そしてこの年のサマーソニックで再来日し、大阪では初日の、東京では2日目のアウトドアステージのトリを飾った。ワタシは東京の方に参加していたのだが、野外ステージで日没直後にスタートするという舞台設定も万全な中、彼らは更に質が高く、密度が濃く、そしてポップなライヴをした。オープニングの『There,There』のイントロが響いた瞬間に鳥肌が立ち、まさかの『Kid A』で呆気に取られ、『Everything ~』では手を叩き、『Karma Police』に聞き惚れた。そして最後の最後は、なんと『Creep』!!初期の代表曲であるこの曲は、近年のライヴでは滅多に演奏されなくなり、その封印が解かれたという感激があり、そしてまたこの曲はこの日の素晴らしきライヴの象徴にもなった。
今回の公演、東京は幕張メッセが会場で、インドアの数万人オールスタンディングというこれまでの公演とはまた違った舞台になる。どこまで凄いライヴになるのか、楽しみだ。
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