プリンス(Prince)『N・E・W・S』
プリンスのニューアルバムで、タイトルはニュース(News)の意ではなく、『North』『East』『West』『South』という4つの方角の頭文字を取ったもの。収録曲はこの4曲のみで、いずれもがきっちり14分00秒。そしてヴォーカルは一切なく、オールインストだ。
バンドメンバーは昨年の来日公演時と同じで、収録は今年の2月に一発録りされた模様。時折ギタープレイが顔を覗かせはするが、基本はジャズ~フュージョン~ファンクで、激しさや荒々しさといった度合いは薄く、淡々と演奏している印象が強い。昨年の公演を観た人であれば、このたたずまいはなるほどと思えるかもしれないが、80'sのプリンスのイメージが強い人がこの作品を聴いたら、かなり面食らうと思う。
生意気かもしれないが、ワタシはプリンスがこういう作品をリリースしても、別に不思議とも思わない。もっと言えば、96年にリリースされた『Emansipation』の辺りから、ああこの人ならこんなことやりかねないよな、と平然と受け止めるようになっている。『Emansipation』は、3枚組全180分というとてつもないヴォリュームと多岐に渡る音楽性だったが、驚くとすればそれは通常のアーティストの創作意欲やリリースのペースを念頭に置けばであって、他のアーティストの比較などとっぱらってしまえば、別に驚くには当たらない。
近年のプリンスはレコード会社からの呪縛を逃れ、自由に音楽活動を続けている。それはアーティストとしてだけに限ったことではなく、人の生き方としても理想的なありようなのではないだろうか。
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