Cocco『風化風葬』

沖縄のタワーレコードで買った、coccoの『風化風葬』。その中身は、スタジオバージョンが収録された8センチのCDシングルと、2000年10月の武道館公演でのライヴ映像が収められたVHSビデオが、セットになっていた。リリースは2001年の2月で、2ヵ月後にアーティストとしての活動停止することが同時に発表されていた。

スタジオバージョンの方は、アルバム『サングロース』にも収録されている。そしてライヴ映像の方だが、2000年10月の武道館公演というのは、Coccoがファンの前でライヴを行った最後の公演であり、そしてまたワタシが初めて彼女の姿をナマで観たときでもあった。ライヴでは序盤5曲目に歌われていたのだが、この時点では未発表曲であり、当然ながらワタシはまるで反応できなかった（自分が書いたレポートも読み返してみたが、何も触れられていなかった）。

映像は、客席からステージを映すアングルが最も多いが、時には真横から彼女を映したり、後方から映したり、彼女の裸足を映したりしていた。白いワンピースのドレスをまとい、腕を振り、彼女は自分の体内から湧き出るエネルギーをほとばしらせていた。彼女がアーティストとしての活動を止めてしまった今となっては、こうしたシーンのひとつひとつが一層愛しく思えてくる。

沖縄旅行の際には、Coccoのアルバム6枚を持参し、レンタカーのCDチェンジャーにセットして、走りながら聴いていた。ミーハーかもしれないし、ベタかもしれないが、それでもワタシはそれをしたかった。那覇空港から、糸満のひめゆりの塔に向かう際に。ホテルをチェックアウトしてから、名護の海中展望塔に向かう際に。石垣で、島を一周した際に。それぞれにおいて、眼下には沖縄の風景が広がっていた。