早川義夫『サルビアの花』
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最終更新日:2023/10/12
早川義夫
テレビで、「思い出のメロディー」なる番組を放送していた。回を数えて34回目だそうで、その名の通り、わが国でヒットした往年の名曲を当人たちが歌うというものだ。出演者として挙がっていたのは、演歌歌手やグループサウンズ、フォーク、アイドルなどが主だったところだったが、その中に早川義夫の名前もあった。
ワタシは早川義夫について、よくは知らない。知っていることといえば、早川義夫という名前と、かつてジャックスというバンドをやっていたことと、長らく音楽活動を休止していたのを、90年代になってから再開させたということくらいだ。興味はあったが、これまでに早川義夫やジャックスの曲を聴いたことはなかったし、増してやナマの早川義夫など、観たこともなかった。それだけにテレビでナマが観れることを喜ぶ一方、それが土曜の夜のゴールデンタイムであり、増してや、曲と共にその当時を懐かしむというノスタルジックな企画に、早川義夫が出るということが信じられなかった。
番組はまるまるビデオ録画し、倍速再生で観た。鈴木ヒロミツがモップスの曲を歌っていたり、先日ニセモノが逮捕された本家ヴィレッジ・シンガーズも、『亜麻色の髪の乙女』を歌っていた。こんな調子じゃ早川義夫はやっぱり出ないんじゃないかと思ったら、つのだ★ひろの後に登場した(つのだは、ジャックスのドラマーもしていたことがある)。曲は『サルビアの花』。数多くの歌い手にカヴァーされている曲であり、早川義夫はその作曲者として紹介された。
早川は、ピアノを弾きながら『サルビアの花』を歌った。ちょっとしわがれた声だが味わいと深みがあり、そして椅子に座りながらも、その体は妙に躍動していた。サングラスをかけていて、やや茶色がかった髪は透き通っているようにみえた。かなりいい歳の人のはずなのだが、とても若々しく見え、そしてとてもカッコよかった。用意された舞台がノスタルジーだろうがなんだろうが、この人はやはり今でも現役であり、それをまざまざと見せつけた演奏だったと思う。
調べてみると、『サルビアの花』は、山本リンダやチェリッシュ、ダ・カーポ、岩崎宏美、あみん、井上陽水など、実に多くのそして幅広いアーティストにカヴァーされている。今回少しだけ早川義夫のことを知ったワタシは、もっともっとこの人の音楽やこの人そのものについて、知りたくなった。
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