テレヴィジョンのトム・ヴァーレインさん(Tom Verlaine)死去
最初に見たのは、モグワイのスチュワート・ブレインファストによる、『Marquee Moon』のジャケット写真を伴ったネット記事のリツイートだった。よく読まずにスクロールしてしまい、少し後になってテレヴィジョンのトム・ヴァーレインさんが亡くなったことに気づいた。記事によると、昨日1月28日にニューヨークで親しい知人らに見守られて亡くなられたそうだ(パティ・スミスの娘ジェシー・パリス・スミスが、ニューヨークタイムズに答えたとのこと)。73歳だった。
ワタシにとって、ニューヨークパンクといえばテレヴィジョンというイメージだった(本人はパンクをやっていたとは思っていないと発言していたとのこと)。70年代に2枚のアルバムをリリースした後、あっさり解散してしまったが、その2枚はいずれも傑作だった。その後はソロ活動をおこないつつ、90年代に限定的にテレヴィジョンを再結成させた(このときに初来日を果たしている)。2001年には再々結成し、以降はソロ活動と並行していた。
特に、ファーストアルバム『Marquee Moon』は時代を超えて聴き継がれるべき名盤だ。全8曲はいずれもヒリヒリするような研ぎ澄まされた緊張感に満ち溢れ、表題曲の『Marquee Moon』は10分オーバーの大作にしてドラマティックな曲展開を見せる名曲だ。ただ、あまりにも緊張感が漂いすぎて、長く活動するのは難しかったのではとも思ってしまう。向井秀徳は、ナンバーガールやZAZEN BOYSのライヴにて、この曲をSEにしてステ-ジに登場していた。
はじめてライヴを観たのは、2002年フジロックのレッドマーキーだった。ラストはもちろん『Marquee Moon』で、このステージでこの曲と、プロモーターは粋なことをしたなと思った。後に、この日フィールド・オブ・ヘヴンのヘッドライナーとして出演する「盟友」パティ・スミスが、ステージ袖から彼らのライヴを観ていたことを知った。その後は、2003年にShibuya-AXで、2013年にKichijoji CLUB SEATAで、ライヴを観る機会に恵まれた。
ヴァーレインさんのソロ公演も、1度だけ観た。2010年11月で、下北沢Gardenという、狭くてステージが近い、洋楽アーティストを観るには贅沢すぎるライヴハウスだった(今回調べたら、2020年に閉鎖していた)。また、2009年のフジロックにはパティ・スミスのバンドメンバーとして帯同していた。
そのキャリアの長さに比して、残した作品は決して多いとは言えない。が、テレヴィジョンにせよ、ソロにせよ、いずれもが傑作だと思っている。まだまだ気を吐いてほしい人だったし、残念でならない。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。それにしても、ジェフ・ベックといい高橋幸宏といい、なんて月なんだ。。。
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