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セイント・ヴィンセント(St. Vincent)@サマソニ2022

セイント・ヴィンセント(St. Vincent)@サマソニ2022

アルバムをリリースする毎にキャラ変が激しいアニー・クラーク。今回の『Daddy's Home』では髪をブロンドにしていたが、キャラ変はヴィジュアルだけに留まらなかった。自身がライヴを楽しんでいるさまが、ありありと伝わってきたのだ。

これまで彼女のライヴを5回は観てきたが、バンドはシンプルに留まることが多かった。今回は、ドラム、女性キーボード、黒人女性コーラス、ベース、ギターと、かなり大所帯。ギターは、なんとジェイソン・フォークナーだった。そして、アフロヘアのベースの人も、もしかするとのツアーメンバーの人の気がする。ドラマーは、マーク・ジュリアナという凄腕の人だそうだ。

アニーはピンクのジャージにショートパンツと、スポーティーないでたち。女性コーラスの衣装と同期させているのだが、このカジュアルさにまずびっくり。以前の彼女からは、凛々しさや鋭さを感じていたのだが、今回は真逆を行っている。

がしかし、ギターを弾けばノイジーなリフを連発するさまは以前そのままで、安心させられる。そして以前と異なるのは、ジェイソン・フォークナーの存在だ。序盤、変態的なリフを放っていたのはジェイソンだった。中盤になり、アニーがジェイソンに歩み寄ってギターのボディを寄せながら競演したり、または顔を接近させたり、互いに跪いて弾いてみたり。彼女がほかのギタリストとリフ合戦を繰り広げる姿は、とても新鮮だった。

3人の女性コーラスも気を吐いていた。曲によってはステージ前方ににじり寄り、ジェイソンやマークにも絡んでいる。アニーが彼女たちにヴォーカルを任せ、自身はギターに徹する瞬間もあった。もちろん高いレベルで緊張感を維持しているが、それでいてリラックスしているように見えた。

最後の曲では、ラストにメンバーたちが楽器を手放して拍手をし、後方ひな壇のマークと女性キーボードも持ち場を離れ、前方に出て拍手に加わる。アニーを真ん中にしてバンドメンバー全員が横並びになり、彼女と女性コーラスがサビのフレーズをリフレイン。アニーの合図で締めくくった後は、みな肩を組んで礼をしてくれた。

アメリカでは押しも押されもしない存在のはずだが、来日がフェスのみになっているのは、日米格差があることの裏返しなのかもしれない。単独来日が望めないとすれば、今回のような機会はとても貴重だし、逃してはならない。それは、これからもだ。

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