藤子不二雄Aさん死去
さる4月7日、漫画家の藤子不二雄Aさんが亡くなられた。自宅の敷地で倒れているところを発見され、死亡が確認されたそうだ。88歳だった。
手塚治虫の洗礼を受け、同郷の藤子・F・不二雄と組んだコンビ漫画家としてデビュー。トキワ荘で石ノ森章太郎や赤塚不二夫らと切磋琢磨し、やがてヒット作を連発するようになった。しかし、ふたりの作画タッチは明らかに異なっていて、ほんとうに合作なのかなという思いもあった。ふたりは1987年にコンビ解消を宣言し、その後はそれぞれ活動していた。
個人的には、ダークな藤子不二雄A作品よりも、『ドラえもん』『パーマン』といったソフトタッチの藤子・F・不二雄作品派ではないかとずっと思っていた。がしかし、『忍者ハットリくん』『怪物くん』『魔太郎がくる』『プロゴルファー猿』など、藤子A作品も結構読んでいた。『オバケのQ太郎』は、実質的な最後の合作作品だったそうだ。
特に印象深いのが『まんが道』のドラマ版だ。ふたりの自伝的作品とも言われ、藤子不二雄Aさんをモデルとする主人公満賀道雄を竹本孝之、藤子・F・不二雄をモデルとする才野茂を長江健次が演じていた。手塚治虫を江守徹、石ノ森章太郎を実子で俳優の小野寺丈が演じ、脇を固める俳優陣も豪華だった。主題歌が長渕剛の『HOLD YOUR LAST CHANCE』を竹本がカヴァーしていて、地方から上京して夢を追いかけるさまを象徴していた。
手塚治虫が、まるで昭和の終わりとリンクするかのように60歳で亡くなったのは、早かったと思った。藤子・F・不二雄が1996年に62歳で、石ノ森章太郎が1998年に60歳で亡くなったのも、早すぎる死だった。そうした中、藤子不二雄Aさんは、長生きした方だと思う。
調べたら、松本零士が84歳、ちばてつやが83歳で、藤子不二雄Aさん現役漫画家としてはほぼ最高齢だったのではと思う。死因が明らかにされていないが、報道から突然死の可能性もあり、闘病生活で苦しみ抜くよりもある意味幸せだったのかもしれない。謹んで、ご冥福をお祈りいたします。
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