パプリカ(2006年)
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最終更新日:2023/01/02
今敏 クリストファー・ノーラン, ディストピア
近未来。精神医療総合研究所に勤務する科学者千葉敦子は、他人の夢に入ることができる機器「DCミニ」を使用してサイコセラピーをおこなう少女「パプリカ」という、別の顔を持っていた。あるとき、研究所からDCミニが盗まれたことが発覚。DCミニの悪用によって精神攻撃を受けた人が、暴走する事件が多発。所長の島も大怪我を負ってしまう。
千葉は、DCミニを開発した時田と共に、研究員の氷室の自宅に向かう。氷室は既に夢の中に取り込まれていて、所員の小山内が実行犯、そして理事長の乾が黒幕とわかる。時田も夢に巻き込まれてしまい、千葉はパプリカとして、刑事の粉川と共に事態の収拾を図る。
DCミニが、他人の夢に入り込めるだけでなく、モニターで外から見ることができたり、夢に入っている人と会話ができたりしているのが、かなり画期的だ。ただ、後半は夢の世界が現実世界に進出するという、『Re:CREATORS』のような展開になる。パプリカも、千葉から独立した人格になっている。夢と現実とが入り交じることの科学的な根拠がないが、そこには突っ込まずこの世界観全体を受け入れるべきなのだろう。
巨漢で肥満の時田が、千葉に想いを寄せているのはまだしも、終盤で千葉がその気持ちに応えてしまうのには、なんとも違和感があった。一方で、粉川がサイコセラピーを受けているパプリカが千葉だと知るというプロットは、ありだと思った。粉川は学生時代のトラウマに悩まされ続けてセラピーを受けていたが、終盤ではそれを克服していて、粉川には共感が持てた。
原作は筒井康隆の小説だが、忠実に映像化しようとすると、劇場用90分にはとてもおさまらないそうだ。監督の今敏は、夢のシーンを最大限に描くように再構築したとのこと。音楽は平沢進で、クオリティの高さは素晴らしい。
また、他人の夢に入り込むプロットは、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』を思い浮かべるが、もしかすると本作にアイディアのヒントを得ているかもしれない。
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